管理人のおじさん

「へぇ、スゴい体験ですねぇ」

 目を丸くし、二の腕を甘く抱く私は、苦笑を浮かべてそう呟いた。

「な。どれもまあまあ気味ワリーのよ」

 管理人のおじさんはそう言って、アハハと笑い飛ばす。

「あっと、時間だ。ごめんねおじさん、また来週よろしくお願いします」

「ハイハイ、気ィ付けてけよ」

 手を振り去る私の背を、おじさんはにこやかに見守る。そのうちに私が角を曲がって見えなくなると、おじさんはそっと手を下ろすのだ。


 そして、その場からジュワリと泡のごとく、消えるのである──。




 嘘みたいな、本当の話……?




               了


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視えた人 佑佳 @Olicco_DE_oliccO

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