ゾンビ VS ニンジャ

それは上もなく、下もなく、左右もなく。

厚さも奥行きもない、ただ押しつぶされたような、真の闇だった。

あたしは、その闇の中にぽつりと灯ったひとつの光のように、意識を得る。

落ちてゆくような、あるいは上昇してゆくような。

けれど、速度もなく、方向もないようなただどこかへなだれ込んでゆくような感覚だけが、あたしを捕まえる。

突然、空中に放り出されたように身体が、浮き上がった。

あたしは、手を足を、そして胴体を取り戻す。

それまでバラバラとなって浮遊していた身体の器官が、接続されてゆく。

再び意識に接続された手足に、何かが絡む。

そこは、水の中だった。

あたしは足掻きながら、水中から脱出する。

そこは、液体に満たされたケースの中であり、その液体が純粋な水でないことは、身体の浮遊する感じで判った。

あたしは、そのケースから這い出る。

それは、棺桶のようなケースであった。

そこから出て立ち上がったあたしは、あたりを見回す。

薄暗い。

日没後の薄暮より尚、そこは薄暗かった。

広い、とても広いホールのような場所のようだ。

冥界のように昏いその場所では、全てが闇へ溶解してしまうがために、子細には判らないのだけれど。

でも、そこがとても広い場所であり、天井も高いことが判る。

そして、あたしが入っていたようなケースが、無数に並んでいた。

こうしてみると、まるで棺桶が剥き出しとなった、墓地のようだ。

あたしは、夢の中を漂っているような意識を、必死で覚醒させようとする。

何もかもが、あまりに非現実的であり、あたしはそれを受け入れることができていないようだ。

あたしは、記憶がない。

何も思い出すことができない、自分の名前さえも。

そう、あたかもこのホールのような場所を覆っている闇が、あたしの頭の中にも滲み込んであたしの記憶を溶かしてしまったかのような。

そんな思いに、とらわれる。

辛うじて判ることといえば。

あたしが多分、若いおんなであるということ。

あたしは、一糸纏わぬ裸体であったため、その身体の特徴がおんなであることはよく判った。

あたしは、足元に転がっている箱の中に、服があるのを見出す。

それは、白い長衣であった。

それを、身に纏う。

その姿を自分で見る術は無かったのだけれど、おそらく冥界を彷徨う死者のようであろうと、想像できる。

あたしは、冷たい床を裸足で踏みしめ、歩いてゆく。

自分がどこへ向かっているのかは、判らなかったけれど、とにかくこの剥き出しにされた墓地のような場所から出てゆきたかった。

どんどん歩いてゆくと、規則正しく並んでいる棺桶はいつしか姿を消し、何もない闇の中を歩いていることに気がつく。

あたしは、前方に目をこらした。

人影のようなものが、見える。

ひとのようだ。

何人かが、いてる。

あたしは、そのひとびとに向かって、走り出した。

けれど、あたしはその足を止めることになる。

その壁際に立っているのは、自動ライフルらしきものを構えた、兵士達のようだ。

そのライフルの銃口は、あたしのほうに向けられている。

恐怖が冷たい手のように、あたしの胸を握り締めていた。

兵士は、全部で五人である。

銃を構えた兵が四人、前方に立ち、その後ろにひとりのおとこが佇んでいた。

あたしは、恐ろしくて兵士たちに声をかけることもできぬまま、立ち竦んでいたのだけれど。

やがて、兵士たちは、あたしに興味を持っていないらしいことに、気がついた。

後ろ、あたしの後ろの。

剥き出しにされた、棺桶たちに兵たちの注意は、向けられているようだ。

あたしは、そろそろと横にずれてゆく。

まるで、凶悪な猛獣の前から逃れるような調子で、あたしは凶弾を孕んだその銃口の前から逃れていった。

あたしは、銃口の正面から逃れ終わると、走って距離をとる。

そしてあたしは、しゃがみこんだ。

目に見えぬ糸が、ピンと張られているように、兵士たちの緊張はしっかりと剥き出しになった棺桶たちに向けられている。

その緊張は、突然破られることになった。

緊張を切り裂いたのは、声にならぬ音にもならぬ叫びである。

まるで石を投げ込まれた湖のように、その無音の絶叫がホールの中の空気に漣をたてた。

あたしは、しゃがみこんだ床がぐらぐらと揺れているような、幻惑を感じる。

はじまる、はじまるんだ。

あたしは、悲鳴をあげたくなる気持ちを、必死でおさえていた。

ゆらゆらと、冷気のようなものが、棺桶のようなケースから立ち上るのが、感じられる。

幾万もの獣たちが、音にならぬ声で咽び鳴いているようなこのホールの中で、剥き出しの棺桶は、ひとつひとつ弾けていった。

ケースの中に満たされた水が泡立ち溢れてゆく。

そして、渦巻く無音の絶叫が響く中で、闇を裂き立ち上がるものたちがいる。

蒼白い死。

幾つも幾つもの、蒼ざめた死体たち。

いえ、彼女たちは生きているのかも、しれない。

だって、現に棺桶から立ち上がって、床に立って歩き始めたのですもの。

でも、でも。

闇の中に浮かび上がった、彼女たちは機械のように一糸乱れぬ連携のとれた動きをみせて。

そう、それは無数の裸体による、死の舞踏がごとく、生きたものの意思を感じられなかった。

あたしは、息をのむ。

その死体たちは、多分あたしと同い年くらいの若いおんなたちなのだと思う。

彼女たちは、自動人形のように、正確だけれどなんだかぎこちない動きで歩いてゆく。

冷たいコンクリートの床を百はあろうかという裸足が同時に打つ音が、規則正しく響いた。

それは、闇が奏でる心臓の鼓動のようでもある。

彼女たちが向かう先は、はっきりしていた。

兵士たちだ。

兵士たちを、追い詰める無言の猟犬みたいにも、思える。

対する兵士たちは、冷静であった。

ある意味、彼らもまた機械のように、正確な動作を行っているが、死体たちのような不自然さはない。

戦いに熟練した、戦闘機械が作動するように見える。

コッキングレバーを引き、セレクターをセミオートに合わせた自動ライフルを持ち、等間隔に展開した。

膝射の姿勢で、待機する。

彼らはとても冷静であり、静かな動作に秘められた冷徹な殺戮への意思が漂っている。

銃声が一斉に轟いたのは、彼女たちが10メートルくらいの距離に入ったところからだった。

闇の中に、血の紅い花が、咲き乱れる。

蒼白い死体は、銃弾に貫かれ、踊るように体を痙攣させた。

自動人形のように正確であった、死体たちの動きは無調音楽のように、乱れてしまう。

おんなの顔を持った死体たちは、深紅の飛沫をあげながら、床へと沈んでいった。

けれど、それは終わりではなくて。

彼女たちは、赤く染まった床の上で暫く痙攣してのたうつのだけれど。

当たり前のようにまた立ち上がり、歩き始める。

銃弾で心臓を抉られ、紅い空洞を胸にもったおんなが、また規則正しく死のリズムを刻みながら歩くのを見て、兵たちは舌打ちをした。

何か反則行為を目撃した、スポーツ選手といった感じである。

ただひとり、銃を持っておらず、後ろに立っていたおとこが、兵士たちに声をかけた。

「足を狙え。動きを止めろ」

兵たちは、銃口を少し下げた。

再び、銃声が一斉に轟く。

軍用自動ライフルは、もともと一撃で殺すためのものではなく、身体を貫通し相手を負傷させる為のものだ。

死体ではなく、負傷兵をかかえた軍隊のほうが、進撃の速度が落ちるという思想があるせいだった。

けれど、至近距離であればただ貫通するだけでなく、足の骨を砕くことができる。

骨が折れてしまえば歩くことができず、その場で蠢くだけになった。

繰り返し、銃声が轟くようになる。

一撃では砕くことのできなかった足を、二撃目、三撃目がとどめを指す。

闇の中、オレンジ色の流星がごとき銃火が光り、金色の空きカートリッジがコンクリートの床で鈍い輝きを見せて転がり、規則正しい銃声が狂った交響楽を奏で続ける。

おんなの顔を持った死体たちは、蒼ざめた虫のように地面へと落ちてのたくっていた。

やがて、立っているものがいなくなった後も、銃声は轟き続ける。

頭部に何発もの銃弾を撃ち込まれた死体は、やがて痙攣することも止めて沈黙した。

ついにそのホールを、完全なる沈黙が支配する時がくる。

兵士たちは、膝射の姿勢を解くと、立ち上がった。

腰から予備弾倉を取り出すと、交換する。

おそらく無駄弾は、使っていない。

それは、彼らが有能というだけではなく、この後も同様の戦いが続くということを暗示しているように思えた。

後ろで佇み傍観していたおとこが、ポケットから煙草を出すと、火を灯す。

闇の中で、うっすらと輝く紫煙を吐き、独り言のように言った。

「さて」

再び、煙草を吸い込み、明けの明星のように赤い火が、闇のなかで光る。

あたしは、おとこが嗤っているように見えた。

「行こうか」

おとこは歩き出す。

兵士たちは、自動ライフルを腰だめにして、おとこの四方に展開して歩いていった。

時折、まだ動きを止めていない死体を見つけると、銃弾を打ち込みその頭を粉砕してとどめをさす。

静寂の戻ってきたホールでは、やけに空きカートリッジの転がる音が寒々しく響く。

5人でひとつの機械を構成しているような、とても熟練したユニットにみえた。

おとこたちは、狩に向かう狼のように死体が満ちたホールを、横切っていく。

あたしは、おとこたちには一切注意を向けられていない。

彼らは、全くあたしには興味が無いようだ。

もしかすると、余計なことにリソースを割く余裕が無い、ということなのかもしれない。

あたしは、ひとりここに取り残されるのは不安であったので、おとこたちの後ろをついてゆくことにした。

やがておとこたちは、まだ時折痙攣をおこしたりする死体の並ぶホールを出て、暗い通路へと入ってゆく。

その通路には、非常用らしい赤い照明が、灯っていた。

ここがどのような施設なのかはよく判らないが、完全に死んでいるということではないらしい。

鬼火のように赤い照明が並ぶ通路を、前方に二人、後方に二人、中央に銃を持たぬおとこという編成で、おとこたちは足早に進んでゆく。

そして通路は終わり、また薄暗くて広い場所へ出た。

しかし、そこは蒼ざめた光に満ちた場所でもある。

日の落ちた後の空に残る残照のように薄い光を放つ水に満たされた、大きなプールのようなものが、そこにはあった。

足元でゆらゆらと揺れているその水は、夜空に嵌め込まれたガラスのようでもある。

兵士たちは、そのプールサイドへ横一列に並ぶと、ライフルを前方に向けて構えた。

その銃口の先には、おんながいる。

先ほどの棺桶から蘇った裸体のおんなたちと同じ姿をしていた。

同じような立ち上がった、死体にも見えるのだが。

しかし、その死体が少し違うように見えるのは、その口元が薄く嗤っているように、歪んでいるためのようだ。

死体は、口を開いた。


「生あるものよ、よくきたな。ここは、死の支配する宮殿だ」


その言葉は、冬の夜を渡る風のようにそのプールがあるホールに響き渡った。

「われらは死だ。みるがいい、生あるもの。死がいかに世界を支配するのか」

蒼ざめた闇を切り裂くように、オレンジ色の銃火が伸び、銃声が轟いた。

大輪の紅い花が咲くように、粉砕された頭部から血が撒き散らされる。

頭部を失った死体は、プールへと落ちた。

水晶のような輝きを持つ水飛沫があがり、水の中に紅い雲のような血が漂ってゆく。

「生あるものよ、それに意味はない」

プールサイドの別の場所から、声がした。

おなじような姿をした、死体のおんなが立っている。

やはり、薄く嗤っているような形に、口元を歪めたおんなが。

「この身体は、ただの死体だ。破壊しても、元々死んでいる。なあ、おまえたちは、生と死を別つものはなんだと思っている?」

その青白い水に満たされた場所には、静寂が戻ってきていた。

冥界がごとき静けさが支配する場所に、荒野を吹きすさぶ風のような声が響いてゆく。

「結局のところ、それは意識というやつではないのかね。意識というのは、閉じた内側を持つひとつの球体だ。それは孤絶しており、対称性が破れている。ある意味、これほど宇宙の調和を乱すものはあるまい」

死は、あたかも勝ち誇っているかのように、言葉を重ねてゆく。

「生は、歪んでおり、狂っている。死をみたまえ、おまえたち。そこにはもう、境界はなく、外部から孤絶した閉域もなく、そう世界そのものと一致していると言っていいだろう。判るかね、おまえたち」

死体は昏く、嗤う。

「われわれは正確には、死ではない。死とは所詮生との対概念であり、生なくしては存在し得ないものだ。われわれはそうではない。生と死の対立をアウフヘーベンしたところに成立しうるような、そう、自然そのものと言ってもいい存在だ。そうだな、おまえたちの言葉で言うところの」

死体は厳かに宣告を降すように、言った。

「絶対精神の自己展開というやつだ。違うかね?」

銃声が轟き、また真紅の血が闇の中で舞い散った。

その死体は、水の中へと沈んでゆく。

水は、真紅の渦巻きができている。

銃を持たぬおとこは、背中から刀を抜いた。

真冬の日差しを思わせる清冽で、冷酷な輝きを持った、とても美しい刀を構える。

「おい、死のくせにしゃべり過ぎだ。所詮、おれたちは相容れぬのだから、語り合っても無駄さ。」

おとこは、死体とは違った風に、闇色の輝きを持った笑みを浮かべる。

「しゃべるより、することがあるだろう。さあ、パーティをはじめようぜ」

水飛沫が上がる。

何体もの死体が、水面から飛び上がった。

まるで、白い鳥が水面から宙へと、躍り上がったように見える。

そして、死体たちは猛禽のように空中から兵士たちへ襲いかかった。

その速度ははやい。

真白き弾丸と化した死体たちに向けて、狙って撃つ余裕はなかった。

兵士たちは、フルオートで、弾幕をはる。

何百発ものライフル弾を受けた死体たちは、空中で血塗れのダンスを踊った。

その四肢は千切れ飛び、挽き肉となってプールサイドへ落ちる。

しかし、一度に防げるのは、数体の死体だけであった。

死体たちは、何十体と同時に水中から躍り上がる。

水晶の壁のような水飛沫の向こうから、月のように白い死体たちが襲いかかってゆく。

自動ライフルは、吠えつづけ、飛び散る血で空中にアブストラクトの絵画を描いていたが、やがてその弾幕を乗り越えた死体たちが兵士へ襲いかかる。

弾幕を乗り越えられた兵士たちは、脆かった。

襲いかかる死体は、血に飢えた獣のように、その喉笛を食いちぎってゆく。

四人の兵士が血だまりの中で、断末魔の痙攣を見せるまで瞬きするほどの時間しか、必要が無かった。

そして、死体たちは、羊に襲いかかる真白き群狼のように、刀を持ったおとこへと襲いかかる。

刀は、美しいだけではなく、冷酷であり、無惨であった。

おとこの振るう剣は、流れ星りように蒼白い闇を裂くと同時に、死体たちも切り刻みその動きを止めてしまう。

あるものは顔面を半ばで断ち切られ、顔の上半分を失い倒れる。

別の死体は、胴の半ばを両断され、軟体動物のようにのたくる内臓を撒き散らしながら、血の池へ沈む。

おとこの刀は、美しいのと同程度に、容赦が無い。

足や手が、木の枝を払うように、斬りとばされる。

肩から入った刀が、脇腹から抜けて、両断された死体が床に転がり虫のように蠢く。

足と首を失った胴が、ゆくえを見失い、手で這いずっていった。

数十体の死体たちが、原型を留めぬほど切り刻まれ、おとこの回りに転がってゆく。

それが自然とバリケードとなって、死体たちはおとこに近づきにくくなった。

次々に、水の中から死体たちが躍り上がるが、おとこのいる場所までは届かないため、切り刻まれた死体のバリケードの向こうに立ち止まる。

やがて、刀を持ったおとこは、数十体の死体に取り囲まれた。

死体たちは、歌うように、語りかけてくる。

数十体の死体し、同時に同じ言葉を語った。


「終わりだ」

「終わりだ」

「生あるものよ、終わりだ」

「生には、終わりがある。われわれには無い」

「われわれは永遠だ」

「われわれは、絶対だ」

「平伏すがいい、生あるもの」

「死こそが世界の主」

「死こそが主」

「平伏せ」

「平伏せ」


死体たちは、やはり全体でひとつの生き物のように、シンクロして動いている。

死体は、一斉に飛びかかろうとして、身構えた。

おとこは、苦笑するように暗く嗤う。

「死にしては、よくしゃべる。だからおまえたちはまやかしなのだ」

おとこは、腰からピストルを抜く。

天井に向けて、撃った。

照明弾である。

そのホールは、真昼のような明るさに満たされた。

光は、物理的な圧力を持つようにあたりを覆う。

そして、おとこはその美しい刀を中空にかざした。

あたしは、その刀なきらきらと、点滅を繰り替えしているように見える。

それは、夜空で瞬く星のようでもあったが、その光は無数の矢がごとく見るものの意識を釘付けにするようだ。

気がついたときには。

あたしの身体は、金縛りにあっていた。

照明弾は、プールへ落ちて、再び静寂と薄闇が支配する。

そして死体たちも同様に、金縛りにあっているようだ。

おとこは、死神が魂を刈り取るように。

刀を振るい、死体の手足を切断して、その動きを止めてゆく。

そして刀は、最後に残った死体の頭を、貫いた。

角のように、後頭部から刀を突き出した死体は、呻くように最後の言葉を語る。

「心の一法などと。ひとの技が死であるはずのわれわれに通用するなど」

刀を持つおとこは、笑みをみせる。

「死であっても、ひとの身体を使い、ひとの言葉を語っていれば、ひとの理に縛られる」

おとこは、一気に刀を下へと、切り下げた。

死体は、縦にふたつとなり、真紅の花を咲かせながら床へ沈む。

「そうであれば、おれは切ることができる」

気がつくと、金縛りがとけていた。

あたしは、その刀を持つ死神のように恐ろしいおとこの傍らに立った。

「あなたは、あたしも切るのですか?」

あたしの問いかけに、おとこは不思議そうな表情を浮かべる。

「あんたは、もう死んでるじゃないか。なぜ切る必要がある?」

世界が、歪んだ。

故障したテレビの映像のように、景色がぐにゃりと歪み、解けてゆく。

どこか、遠いところから、おとこの声がする。

「あんたは死んでいるんだよ。死体の中で再生されている記憶の夢をみているだけさ」

いつか、あたしは闇の中にいた。

遠くに、ぽつりと光が見える。

もしかすると。

いや、ただの希望なんだろうけれど。

もしかすると。

それは新しい、はじまりなのかもしれない。

あたしの中に宿った、あたらしい命がもたらす光なのかもしれないと思い。

あたしは、ゆっくり歩き出す。


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