それをもたらしたものに立ち向かうことでしか消せない

誰だって、大なり小なりトラウマを抱えているのではないだろうか。つまりは、共感できる要素が多いのではないだろうか。

この物語に出てくるハウスに集う元冒険者たちのトラウマは大きい。しかし、普段は何事もなかったように過ごす。それは本能的な防御反応だ。
そんな中、元上司たっての依頼を受け、塞がりかけた傷を、塩を塗り込んだ刃で抉るような冒険へと身を投じる四人。交わされる軽口も、弱さを隠す蓑。
トラウマは、それをもたらしたものに立ち向かうことでしか消せないと言われる。本来、徐々に弱い刺激から慣らすべきところ、四人はいきなりビリビリするような刺激を浴び続ける。
怯み、迷い、胸を掻きむしりながら強大なトラウマに立ち向かう姿に、リハビリどころかトドメ刺されるんじゃないかと心配してしまう。
それでも進んでしまう冒険者魂にヒーロー、ヒロインを感じ、精一杯の動きにエールを送りながら、軽い文章で読み進められる作品。

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