誰だって、大なり小なりトラウマを抱えているのではないだろうか。つまりは、共感できる要素が多いのではないだろうか。
この物語に出てくるハウスに集う元冒険者たちのトラウマは大きい。しかし、普段は何事もなかったように過ごす。それは本能的な防御反応だ。
そんな中、元上司たっての依頼を受け、塞がりかけた傷を、塩を塗り込んだ刃で抉るような冒険へと身を投じる四人。交わされる軽口も、弱さを隠す蓑。
トラウマは、それをもたらしたものに立ち向かうことでしか消せないと言われる。本来、徐々に弱い刺激から慣らすべきところ、四人はいきなりビリビリするような刺激を浴び続ける。
怯み、迷い、胸を掻きむしりながら強大なトラウマに立ち向かう姿に、リハビリどころかトドメ刺されるんじゃないかと心配してしまう。
それでも進んでしまう冒険者魂にヒーロー、ヒロインを感じ、精一杯の動きにエールを送りながら、軽い文章で読み進められる作品。
過去にパーティーで1人だけ生き残ったという冒険者がいる。そんな冒険者が集まって心の傷を癒す場所「ハウス」があった。ハウスで暮らす中でも年長者、2年~3年もの間ハウスで療養していたのが主人公達4人。
過去に仲間を無くしていることもあり、主人公達は皆トラウマを抱えています。二つ名を持つ冒険者ではありますが、それぞれに欠点があります。そんな寄せ集めの彼らがとある事情から、共に冒険をすることになりました。
冒険で蘇る過去の思い出、トラウマ。自らの欠点を痛感することもあります。命のやり取りを前に声を荒らげることがありました、過去の記憶に苦しむことがありました。それでも彼らは過去と向き合いながら、苦しみながら、前へと進んでいきます。
彼らの冒険がどのような結末を迎えるのか。今後どのような試練が待ち受けるのか。ドキドキハラハラしながらも時折クスッと笑う所もある、主人公の心理的葛藤を描いた作品です。