空の巻
次の日、月の空にて寺尾から聞いた話である。
事の顛末を聞き終えた長岡佐渡を含む細川藩士は大いに健闘を讃えた。また、岩流父子の菩提を篤く弔う事も誓った。
これは直ぐに九州中の高札に掲げられ、武蔵と岩流の決闘は天下の知る処となるらしい。
これを祝して、細川藩では夜通しの宴会をした。
此処で岩流父子の二代を懸けた死闘を讃え、舟島の名を改めて岩流島とすることが決まったらしい。
なんとも奇妙なことに、長州の舟島は九州の聖地となったのである。
結果を見れば、例え決闘で死しても岩流の勝利は揺るがなかったのだ。
彼らの名は末永く世に残るのである。
――これでは武蔵も勝ち甲斐もあらぬな――と与右衛門は苦く笑った。
この後、晩年の武蔵が細川に食客として向かえられるまでの約三十年、与右衛門は終ぞ武蔵が果たし合ったと言う話を聞くことはなかった。
〈 押印 〉
宮本武蔵 五輪ノ島 超獣大陸 @sugoi-dekai-ikimono
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます