死の遊戯に興じる妹。生贄の血は少女を穢すことはなく……

なんとも凄惨なシーンで始まるこのお話。子供の頃は平気で残酷なことができたよなあ……と昔を思い出しながら読みました。

あらすじにもあるように、この作品には命の価値を問う場面が出てきます。
しかしむしろ作中には無意味な死が溢れている。妹・美里奈に拷問される生き物たちは哀れですが、彼らを殺すことで美里奈が得るものは何もない。楽しんで見える様は無垢な子供のそれであり、歪な性癖というわけではない。痛みを感じないということは、痛みをもたらす者との間に何も生まないということであり、逆もまた同じです。だから美里奈の世界には「快」しかない。

そんな美里奈もある少女と出会い少しずつ変化していきます。傷ひとつない彼女の心がかつてない揺れを感じるとき、量産され続けてきた無意味な死が、ようやく意味を持ち始める。
痛みを感じないことは、痛みをなかったことにするわけではなく、ただ先送りにするだけで、さながら呪いのようにいつか手痛いしっぺ返しをくらうことになる。

やはり美里奈にも相応の罰が待っていますが……その時彼女がどうするのかは、是非読んでみてほしいです。