日記をめぐる、めくるめく冒険

終始、優しさの漂う柔らかな作品という印象です。

主人公のジェシカをはじめ、『日記』の巻き起こす摩訶不思議を彼女とともに体験するゲスト的立場の人たち、そして彼らの物語に息づく者など、とにかく登場人物のほとんどが嫌味のない優しい心を持った人たちです。

黒幕は黒幕で徹頭徹尾ゲスいですし、その明確な対比が各々の立ち位置をとてもわかりやすくしてくれています。

最後にその正体が明かされはしますが、あくまでも『日記』という体をとったアイテムが主軸となる物語ということもあってか、ジェシカの語り調でつづられていく文章も読みやすく、スッと頭に入ってきました。

決して癒し系というわけではありません。
けれどホッコリとした読了感を味わえる、そんな素敵な作品でした。

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青銀のヴェルショナル