あのとき、友人に何が起きたのか。語り手は何を見たのか。

仕事をとある理由で休職していた主人公がある不安を抱えながら妻と息子との生活を続けている、という冒頭から語り部の回想に入っていくストーリー展開なのですが、この休職した理由や不安の要因が、後の展開において伏線になってくるんですよ。

さて、この作品ではキャッチコピーにもある通り、『天狗』の存在が鍵になってきます。山々に住む魔物など、様々な姿で描かれる天狗ですが、この作品のジャンルが『ホラー』であることから分かるように、作中において主人公にとってあまり良い存在ではありません。

回想シーンでは一緒に遊んでいた友人が行方不明になった後、彼が帰ってきて不思議な現象を度々起こすようになります。不思議な道具を見せてもらったり、少々の気味悪さを残しつつも、それは語り部の主人公にとって楽しそうで、どこか朗らかな雰囲気が流れます。
しかしそれは主人公が一気に不幸へと転じてしまうラストに発動する落とし穴だったのです。

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