風牙の葬送

作者 久遠マリ

上質の異世界民俗学。あまりに綺麗な古い記録に陶酔します

  • ★★★ Excellent!!!

 とにかく全てが高レベルでした。使われている言葉、内容のリアリティ、そして筆致のどれも。ただ、頭に入ってこないような難しい物語という意味ではありません。それどころか、ワンランク上という感じの情景描写も素晴らしくて、作品世界を見事に演出されていました(それでいて時々コミカルなのが面白いです)。

 ストーリーの中心は、草原の朽ち果てた集落で見つかった百年前のあるものです。それは、間違いなく紳士だけれど、どこか子供のような上官と、そんな彼に不満たらたらかと思いきや、心底慕っている部下との、意図せず始まった交換日記。

 記録でありながら見えるように生き生きと描かれたそれの、なんと魅力的なこと。確かに、一般的には耳慣れないだろう言葉や熟語があっさり登場するのですが、ほかはただただ丁寧なだけで、実はスッと入れるあまりに美しい世界に酔いしれてしまいました。

 でも・・・。

 ラストはあえて何も語りません。ただ、とても素敵なお話をありがとうございました。

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