日記の過去と現在が交差する時。

 日記を見つけた人物と、過去にその日記を記した人物が交差する物語。日記を見つけるのは現在の登場人物。日記には、北の草原の民とのやり取りや、その土地の独特な風習や神話が記されていた。
 作者様が民族的なものがお好きということが、よく反映されていて、日記の中に記されている民族の風習がとても興味深かった。例えば光の神と闇の神では、光の神の方が厳しく、闇の神の方が温厚である。そして題名にもなった「風牙」の存在。さらには民族内の結婚の様子など。
 そして、現在の静的な様子と日記の中の動的な様子の対比。この対比で緩慢になりそうなところを締めているところが、さすがだと思う。
 小生を含め、民族的なものが好きな方にはたまらない一作。
 是非、ご一読ください。

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