座談会Side 1/3

夜の袋小路に二つの影があった。一つはもう片方の影を引きづっていた。

いや影から”引きづり出し”ていた。ゴミだめの上にエイチの身体をちょうどいい具合に置くと携帯を取り出した。

「ほな、はいっチーズ」

写メを撮るとメールを送った。そしてエイチを覗き込むとニッカリと笑った。

「おーいもう起きてええで」

「…」

「どないした?いけるかい?」

「…」

「あっもしかして運動野傷つけてもうた?かんにんなー」

「…」

「…大丈」

「何に向かって話している」

背後に立つエイチに声をかけられた。目の前には何もいない。

「起きとったんやったら起きたといってやー」

「私は撃たれてなどいない」

フンッとあしらうと振り返った。

「何いってんねん?あんたさっき…」

「あれは”枝”だ。お前が今見ているのもな。」

よく見れば少し透けている。しかし通常の人間が感知できない程度だ

しかし通常ではない悪運の視覚にははっきりとエイチの体の先が見えた。

『ピロリン』

携帯の着信音が鳴り響いた。エイチ殺害を依頼してきた中島からだ。

『23時30分に□□□に来い。金を渡す』

「どうした」

エイチが不思議そうな顔をした。三人の中で一番背が低い彼女だが歳は一番上だ

「金受け取ってくるで。先帰っとって」

エイチは無言のまま頷くと影の中に消えた。

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