一夜限りの戯れを

KAWAIYUKI

白Side

とある路地裏に黒いセダンが乗り込んできた。降りたのは最近あたりを騒がせている893の副長だった。

「どどどどうも」

そこで彼を待ち受けていたのは、パーカーをかぶった青年だった。

フードの下から見える髪は白く、瞳はペリドットのようだった。

「…お前が情報屋か?」

「ヒャイ…あっええと。ここれがあなたが欲しがっていたもものです」

思っていたのとは違うが…差し出された封筒の中身は本物だ。

「はあ」

ため息をつくと彼はポケットからア●ロを取り出した。

「ほれ。礼だ。」

「こっこ困りますよ。ちゃんと払ってもらわないと。」

「今部下に入れさせている」

青年はおどおどしながらもア●ロを一粒口に含んだ。それを見届けると背を向ける。しかし望んだ音は聞こえてこない。

「あの」

振り返ると彼はまだそこで立っていた。

「ア●ロ、ありがとうございました」

笑みを浮かべる彼はとても恐ろしかった。

「そうか」

副長はセダンに乗り込むと部下に命令した。

「白鏡輪のアジトを探せ。」

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