悪Side

とあるバーで男がカクテルを飲んでいた。一見普通のサラリーマンに見えるが、正体は893の一員だ。

それもかなり地位が高い。彼は連絡を待っていた。

『ピロリン』

かすかに響いたその音はしっかりと耳に届いた。奴からだ。

『終わったでー』

短い文面の下には頭を撃たれた女の写真があった。

『23時30分に□□□に来い。金を渡す』

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23時30分。奴は時間ぴったりにきた。

「どうもどうも。悪運と申す。ところで金はどこです?」

ヒョロっとした体に黒い服を纏い、青い髪と瞳と良くあっていた。

「そう焦んなって。ほれそこのカバンだ」

カバンの中を覗き込んで背を向けたやつに向かってナイフを振り下ろす。

「なんや金入ってへ…」

ナイフは体に突き刺さり、奴は倒れこんだ。

あとはカバンを回収して、処理係に任せるだけ。

そう思いながらカバンに手を伸ばす。

「酷いやないですか。これ結構痛いんでっせーこれ」

振り返ると奴がナイフ片手に立っていた。急所をついたはずだったのに。

「なん…」

気がついたら喉が切られていた。

「わしらをねぶらんといて頂きたい。刺したのはわしの服ぐらいだ」

そこで意識が途切れた。

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中島が殺されたと聞いたのは彼が死んですぐだった。待機していた処理係が発見したそうだ。

中島は喉を切られた上に、『金は振り込んどけ 悪運』と書かれた紙をナイフで止められてたそうだ。

奴には、白鏡輪の仲間の処理を任せていた。しかしまさか、頼んだ奴が白鏡輪の仲間だったとは。おそらく女はまだ生きてるだろう。

「副長」

横山に声をかけられた。

「鳴海が”例の女がO山の中に入りやした”と」

「そうか」

おそらくそこに行けば奴らを全員捕まえられる。椅子から上がりかけたが

「それと」

「なんだ」

「女をつけてた鳴海と繋がりません」

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