寸劇

寸劇――


「ラン、今日はちゃんと用意できたわよね?」

「はい。仰せの通りです」

 机に二つのカップが置かれる。

「……う~ん。これよこれ。私が探し求めていたのは。」

 彼女の向かいに座るリージュは、出されるやいなや中身を一気に飲み干す。

「……ねえミリ、これいつものコーヒーと何が違うの?」

「あら、わからないかしら? リージュの舌は、その博識な頭にふさわしくないようね」

「その手には乗らないわー。怒っても利益なし」

「リージュ様、こちらのコーヒーは豆が少々特殊なものでして……」

 滑らかなメイドの説明に、少々興奮気味のミリが割り込んでいく。

「あのね、この特別なコーヒーは、実の果肉を故意に残して熟成させたものなの」

「ふんふん。でもいくらこだわったところで、“お子ちゃま”の舌には苦いもの」

「はあ。どうしてこの高貴な香気がわからないのか、理解に苦しむわ。見ためと香りの差異が、脳を欺く。黒くてニガいコーヒーと思いきや、意外にもワイニーで……」

 その一言に、リージュは異常なまでに惹きつけられる。

「何!? ワイニーですって?」

「え、ええ。そうとしか表せないと思うけど」

「卑猥なオナn……」

「そこまでですよ?」

 ランによる鋭い口止めが炸裂する! 両手に何を持っていたかはご想像にお任せする。


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