ふわふわ,廃血,LSD


ミリ:ねえリージュ、どうしましょう?

リージュ:ん? 何が? (。´・ω・)?

ミリ:あのね、ランから聞いたんだけど、私……、何と言えばいいのかしら。えーと、いわば“道具”にされてるみたいなの……。

リージュ:あら、ポゼッションプレイ?

ミリ:え!? いや、違くて……。ランは私がエリーさんにもてあそばれているって言うのよ。


――リージュから、紅茶の差し入れ


リージュ:どうぞ。具体的には? 

ミリ:ありがとう。具体的には、そうね……、例えば私が頭痛で倒れた時、エリーさんは頭蓋を切り開いたの……。ほら、縫い目が私の頭を一周しているでしょう?

リージュ:……本当だ。頭痛で頭開くって、脳内出血でも起こしたの?

ミリ:わからないわ。けど、ランは少しやりすぎだっていうのよ。

リージュ:まあ私も医学が専門ではないから詳しいことは言えないけれど、そうとう悪い症状だったに違いないわ。でも、それならどうしてここまでのこのこと歩いてこられたの? ”安静にしてろ”とか忠告されなかった?

ミリ:いえ、特に何も。なら、やっぱりランの言う通りかも……。だって私、お漏らしさせられてたとかいうのよ? 一体どうやって? ありえない。

リージュ:はあ。尿道にカテーテルでも突っ込まれたんじゃない? 

ミリ:え、何それ。というか、あなたさっき薬もらったって言ってたけど、 何の薬?

リージュ:私はあれよ、睡眠薬。

ミリ:あー、なかなか寝付けないって言ってたものね

リージュ:そういうミリこそ、鎮痛剤なり何なり貰いに行かないの?

ミリ:ああー、確かにそうだわ。まだ何が原因とかはわからないけれど、気持ちの整理はできたみたい。ありがとね。たまに飲む紅茶、おいしかったわ。

リージュ:それはそれは、お粗末様。


 ☠

――エリー医師の診察室


ミリ:ごめんください。

エリー:あら、ちょうどよかった。さっきサラに薬を調合させたんだけど、今やっと完成したのよ。

ミリ:それはよかったです! では、さっそく処方してもらえますか?

エリー:もちろん。でも、貴女の体質に合わないと困るかと思って、いくつか候補を用意しておいたわ。サラ、持って来てちょうだい。

サラ:はい、ただいま。


――サラが薬をトレーに乗せて登場


エリー:ありがと。じゃ、さっそく選んでもらおうかしら。一つ目は「ふわとろタイプ」、二つ目は「赤い布団タイプ」、で三つ目が「キラキラタイプ」。どれがいい?

ミリ:名前だけ聞くとどれも安心できそうな気もしますが、一応説明してください。

エリー:そうね……、「ふわとろタイプ」は、文字通り安心感に包まれて鎮痛する薬だけど、副作用の筋弛緩作用が厄介なの。半日はずーと口を半開きにして寝たきりになるわね。あ、その分なれれば結構気持ちいいものよ?

ミリ:パスで。

エリー:そう……。二つ目の「赤い布団タイプ」は文字通りねている間に出血して布団が赤く染まるんだけど……、でも欠点はそれだけなの! 錠剤だから、飲みやすい!

ミリ:でも、寝ている間だけなら、痛みはないんですよね?

エリー:そうそう、名を捨てて実を取るのが賢明そのもの。

ミリ:そう考えれば……、すこし魅力的ですね。

エリー:でしょ? まあ、一日五十錠飲むことになるのだけれど。

ミリ:パス。

エリー:しょうがないわね。なら、三つ目の「キラキラタイプ」はどうかしら? 副作用は「ごくまれに見えている風景が大きくゆがんだり、極彩色にみえたりする」というもの。

ミリ:えーと、副作用って、絶対についてくるものなんですか? 

エリー:光と闇みたいなものよ。切っても切れない縁なの。

ミリ:じゃあ、三つ目のでお願いします。、ですよね?

エリー:ええ、そうよ。サラ、キラキラタイプを一週間分お願い。

サラ:はい、師匠!

エリー:さて、説明すると、服用は一日二回。朝と夜ね。で、できれば最初はだれかに手伝ってもらうといいわ。

ミリ:え、どうしてですか?

エリー:あら、もしかして、座薬には慣れてる?

ミリ:座薬?! ちょっといい加減にしてくださいよ。ちゃんとした薬はないんですか? 副作用が変だったり、摂取量が異常なのしかないじゃないですか!

サラ:師匠……。

エリー:しょうがないわね。一日一錠、夜に飲む錠剤タイプがあるけれど?

ミリ:それでお願いします!

エリー:確認は? 副作用が……

ミリ:いいですよ、もうこれが一番自分に合ってる薬だと思いますから!

エリー:そう。


――ミリ、錠剤をひったくり、退場。


エリー:……こんなにうまくいくとは思ってなかったわ。サラ、フラールさんに報告しておいて。

サラ:了解です!


 ☠

――夜、ミリの自室


フラール:ミリー、入ってもいいかしら?

ミリ:お、お姉さま……、今はダメです。なんだか熱っぽくて、病気が移ってしまいますよ。


――フラール、忠告にかまわず入室する


フラール:あらあら、うつってもいいの。それより、貴女のカラダが心配だわ。ほら、今日は一緒に寝ましょう? ね?

ミリ:……はい、お姉さま。

フラール:わあ、ほんとにあったか~い♪

ミリ:あの、なんだか今日は体が火照っていて……、風邪にしては悪寒とか、だるさも少ないので、もしかしたら怖い病気かもしれないので、本当に心配で……。

フラール:ああー、可愛い! もう、だいじょうぶ。本当よ? お姉ちゃんがついているんだもの。さあ、こっちにいらっしゃい今日は寝かせないわよウフフフフフフフフフフフフ……。


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