இエリー侍医の自慰的施術


「さて、とうとうこの日がやってきましたね」

「ええ、複雑な気持ちではありますが、とにかく、目先の患者さんを助けないと!」

「それでは、いきましょう」

「はい!」

「エリー美人女医と~」

「サラ助手の~」

「“脳内麻薬で溺れよう”のコーナーです!」

「いやいや……」


 サラは少々暴走してしまったエリーを自重させる。患者の体に派手な縫合後を残すことが趣味である彼女に、この忠告がどこまで作用するのかは甚だ疑問ではあるが。

 さて、この不思議な空間は館の一室、医務室である。廊下で力なく倒れていたミリは、メイドのランに意識の無いままここに運ばれたのだ。

 内装については、全てエリーの趣味に合わせているので、なまなましい裂傷の写真や、内臓の飛び出た少女の絵画が所狭しと壁を埋める。「良い趣味だ」と思った紳士の方は、是非とも一度彼女と会ってみると良い。必ずや話が合う。……あ、四肢欠損少女の図! ちょっと失礼。エリーさんとお話してきます。


「さて、ランさん。この館の主は今、意識不明の状態に置かれています。あなたはミリさんがどうしてこうなったかをご存知でしょうか?」

「私が駆け付けた時に、ただ一言『頭が痛い』と」

「なるほど……」


 一瞬だけ考える動作をしてから、その次にエリーは笑みを浮かべていた。そんな動作を見て、悪いことをしでかすと思わない人がどこにいるだろうか?


「では、頭蓋骨を開いていきまーす」

「はーい」

「のこぎり」

「はい」

「ちょちょちょ、っと!?」


 頭を開く。まさかの言葉。のこぎり。まさかの道具。医療の「い」の字もないではないか! エリーはとうとう正体(性癖)を現し、早速頭部の“御開帳”を図る。

 焦るラン。乱れるラン。乱ラン。

 メイドはこの女医を止めても無駄と判断し、助手に助けを求める。が……


「ああ、大丈夫ですよー。蝶形骨は傷つけません!」


 どこ!? なんだその骨は。

 しかし、この発言によって、サラさえも常識を欠いていることが判明したので、ランはなす術がない。主人が医学的にレイプされるのを、そこら辺にある硬い長椅子で見るしかないのだ。

 ランがしおれて椅子に座ると、エリーは早速前頭骨と頭頂骨の切開に努める。これも主人に仕える侍女の役目だと信じてやまないメイドは、見たくない意志しかない自分をこらえて、脳に刃が食い込んでしまわないかなどを見守っている。


「おっと、取れた取れた♪」

「さすがです!」


 確かに、さすがです。

 エリーはしたり顔でランに頭蓋を見せびらかす。見事脳みそを傷つけずに、頭蓋骨だけを切り取っていた。しかも切り口は地面に水平で……。

 いや、やっぱりブラボーとは言えない。


「手袋」

「はい」


 そして、革製の手袋を両手につける。何をするのかと疑問が浮かんだ時間も物束の間、狂的医師は、ミリの脳を鷲掴みにしたではないか。


「はい、ぐちゅー」

「おおー。力加減も、ちょうどいいです。あー、そこですね」


 早くここから出たい。ランはそれだけを望む。というか、どうしてこの館は彼女らを侍医に選んだ? もっと他に良い自慰……、あ、間違えた。まあ、間違えついでに言えば、彼女の診察・治療は自慰そのものだ。自分たちの狭い世界のなかだけで満足している。

 グチュグチュ……

 ア、ミリサンワラッテマスヨ!

 ホントネ、ウフフ。ワタシモツラレチャウ

 これは、あとでミリ様やフラール様に苦言を呈さなければ。

 ホレホレ、ココハ ドウカナ

 ア! センセイ、カノジョ、オシッコモラシテマス

 ホントウネ。 コレハイヨクアリマセン。 アタマイガイニモモンダガモナキニシモアラズ

 ・・・・・・ナンカニオイマセンカ?

 私にも臭ってくる。何だろう、嫌なにおいではあるんだけど……。

 ホラ、ミナサイ。 ミリサンハ、マエダケデナク ウシロモユルユルネ

 ソウイウコトデスカ!

 見てられない。いや、嗅いでられない。これ、便のにおいだなんて・・・・・・。ご主人様がおもらし(しかも大・小双方)しているのを目撃することになるメイドって、私が初めてじゃないかしら……? 気分悪い。

 カワイイワ。モットクチュクチュシチャウカラ

 ア、カラダガケイレンシテマスヨ!

 イヤ、コレカラヨ。オモシロイノハ

 アア、ハゲシクナッテ……、マタオモラシシテマス!

 コンナニモカオヲコウチョウサセテ、オモラシダトオモウノ? ウブナコネ

 ……ご主人のアレも、妾意外に見たことがあるメイドって、いないわよね?

 なにこれこわい。もうやだこれやだ帰りたい……。







 さて、エリーがどれほど狂っているか、またサラがどれほど毒されているかをお伝え出来ただろうか? 

 ランとミリには可哀そうな場面だったが、一部の人にとって、ここは“萌える”場面だ


 ――そういえばこの作品は、(いろんな問題で)大丈夫か?

 カクヨム運営からの通告が来たらどうするか……。すでにガイドライングレーゾーンではあるのだから。

 そうなった場合は別の投稿サイトにR18で投稿しておくことにしよう。うむ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る