書籍版を読んで、すごく面白くて、続きが気になりすぎて読みに来ました。
恋人にフラれ全てを失ったと絶望した主人公が、新たに護りたい人との出会いや、自身の気持ちに気付きながら、立ち直り前を向いていくストーリー。
どこまでも真っ直ぐな主人公、魅力的なヒロイン、そして仲間たち。若干のハーレム要素がありつつも、主人公のあまりに真っ直ぐな性格を前にすると、クサイ台詞ですらも全く嫌味に感じません。主人公が一番好きかもしれない。
本作は王道のファンタジー世界観ながら、独特の、まさに失恋の色のような、少し切ない雰囲気をまとったストーリーが最大の魅力だと思います。穏やかで、少し切なくて、でも仲間との触れ合いに心が暖かくなる。そしてそれだけでなく、もっと大きな世界の秘密に立ち向かっていくような冒険も感じさせます。
とにかく面白くて、毎回更新が待ちきれない作品です。
人間は一筋縄ではいかないのを見事に表現している作品だと思う。
性格と過去から生み出される思想は簡単に善悪で表現できるものではなく、善人で完璧な人間は存在しないし、誰しも苦悩を抱えて生きている姿が、素晴らしい練度で表現されている作品。
初期設定上はよくあるパターンであるが、作中に登場するキャラクター達の、『理解出来ないが確かに現実にもいる』――愚かで浅ましい人達の表現は自分が読んだどの作品よりも秀逸に書かれていると思った。
これ以上はネタバレになるので深くはいえないが、私はこの作品を読み、確かに得られるものはあったと感じたので、繊細な刺激が欲しい人は一度読んでみると良い。
題名通り主人公は同じパーティの冒険者である恋人にフラレて傷心のまま帰郷するところから物語が始まりますが、最初は主人公についてあまり説明がなく白い部屋に足跡だけ残っていくかのような茫漠とした印象を持ちました。
しかし、故郷へ帰る道すがらに出会う少女や以前のパーティの仲間、旅の途中で寄る村人、学園の校長に至るまでみな人を労わる気持ちに溢れていて、実直な主人公の人となりに触れるとともに温かい物語だなと印象が変わってからはページをスクロールする手が止まりませんでした。
キレイな話ばかりではありませんし、主人公の痛みや、元恋人の思い、仲間たちの過去など物語の始めからして苦いものも沢山ありますが、この物語は人と人、言葉と心の巡り合いでお互い支え合って自分の心を掴むようなその過程がありありと描かれているのだと思っています。
もちろんファンタジー部分も素敵なんですけどね!「突貫」かっこよすぎる...
全員にはその魅力が伝わらないかもしれませんが、この物語を読んだ方やこれから読む方にその一部でも伝えられたのなら嬉しいです。私はこの小説が大好きです。
寝取られたその後の人生に焦点を当てるという、ニッチな需要を気持ちよく満たしてくれた作品。
気づいたら主人公に感情移入していて過去の回想は読んでいて身を裂かれる思いでした。
多少優柔不断ながらも概ね人間ができてる主人公と、その周りの優しい仲間たちは見ていて気持ちが良かったです。
各キャラたちの性格やその背景となる過去がしっかりしているので、行動やセリフに一貫性がありとても読みやすい。ファンタジーの世界ながら冒険についてまわると思われる小さな苦労、冒険のリアルさが凄い感じられます。
長々と偉そうに書いてますが、続きが最高に楽しみです。
舞台はファンタジーだけど、心理描写がリアルで生々しい。
主人公目線で語られるそれに、いつの間にか感情移入し、これでもかと心抉られること必至です。
安易に読者のカタルシスに走らない展開。
色んな解釈ができる描写に人物像。
よくあるファンタジーとは一線を画す秀作です。
ソルディグ(間男)主演、ユーリ(元彼女)助演「寝取った後のファンタジー」が猛烈に読みたい。
ユーリ主演の「フった後のファンタジー」でも○
ネタとかじゃなく、本作とセットで読んだら絶対面白いと思う。
お金払ってでも読みたい。いやマジで。
完結後でも良いので、主人公以外の目線で書いて頂けるのを心待ちにしています。
彼女を守って
僕が
死ぬ
それが僕の愛だった
なにもない僕 すべては彼女のためにある
よわい僕 大事な彼女にしてあげられるのは、命をかけて守ること
そんな僕と彼女に 凄い男が現れた
とても強くて、ここぞの場面で誰より頼りになる男
僕の彼女は その男の背中を見つめてた
嫉妬した 僕にないものすべてを持ってる男に嫉妬した
彼女が魅せる眩しい笑顔 それが痛くて痛くて堪らない
笑顔を向けてる相手は 僕じゃない
彼女の心は離れていった 僕の心は虚ろになった
彼女は別の男を愛してる、強い男を愛してる、彼女を守るに相応しい
心が理解を拒絶する 心が砕けて砕けて、それでも砕けて
すべてを賭けて彼女の心を取り戻す
弱い僕よ、砕けてしまえ、お前は彼女に相応しくない
彼女を離さないためならば、強さを手にするためならば
苦しさ痛みに、心が体が、反応しない もはや、見えず、聞こえず、感じない
それでも強く、なれてはいない
己の意思が砕けぬ限り 何があろうと前へと進む
体よ砕けよ 心よ砕けよ
弱い僕のあらゆるすべてよ、砕けてしまえ
すべては砕けた 潰えてしまった なのに強さは手に入らない
たとえすべてが砕けても ここには砕けぬ意思がある
この ぼくの意思 がある 負けるものかと震える意思が
ここにある 意思がすべてを超えた時
僕の中の 何か が弾けた
そうして僕は手に入れた、守れる力を手に入れた
だから愛しい人よ、どうか僕を捨てないで
どうか僕を選んでおくれ
この物語はロージャという主人公の視点で物語が進みます。
彼はどういう人物か。一言で言うなら聖人でしょう。
およそ、人とは思えないほど善良な人物。
人の世の奇跡とは、彼のこと。
彼は劣等感の塊でもあります。
それはなぜか?
この世界には魔素があり、魔導があります。
魔導が使えない人物は、無価値、劣等なのです。
ええ、そのとおり。
彼は魔導がまったく使えない、この世における最劣等。
ですが、彼は決して挫けない。
真っ直ぐ真っ直ぐ生きていく、その眩さは太陽さえも比較にならない。
なのに当人にはその自覚なし。
己は無能であると心の底から信じきっている。
その自信の無さは底なしと言えるでしょう。
彼は自分の価値を知らない。
だから、大事なものを守るためならば、簡単に自分の命を投げ出してしまう。
傍にいる人たちが彼をどれほど大事に思っているのか
これっぽちも知りもしないで、、、
彼はとても優しく、恐ろしいまでのお人好し。
人を信じることしか知らない。彼の世界にはまだ敵と言えるものはほんの少し。
彼の言葉は他の人とは違います。彼は助けると言えば必ず助けます。
たとえどんな敵が来ようとも決して言葉を違えることはありません。
その敵が暗殺者であろうと巨人であろうと巨大宗教組織の教皇であろうと。
そんな彼が、最愛の恋人が寝取られて手ひどく振られた後から物語は始まるのでした。
第一の読み方 ロージャの世界
そのまま読み進めればロージャ視点のお話が楽しめます。
この視点では、人、モノ、すべてがロージャフイルタを通して見ることになります。
彼の考え、性質、生まれ、育ち、教育、経験、その他諸々があらゆるものに付与され
ロージャの世界が構築されています。
話は彼の内面を体験していくもの。
白眉というべきは彼の喪失、心が壊れていく様。
劣等感、焦燥、嫉妬に無力感。
狂気に堕ちていく彼の苦しみを味わおう。
想像力と感受性を最大にし、ロージャと同調して苦しみぬく。
これが本作を一番美味しく頂く方法。
苦しければ苦しいほど美味しい。
死ぬほど苦しければ死ぬほど美味しい。
第二の読み方 無限の世界
小説の中で公開されている設定があります。
その設定から演繹的に導き出される、おそらくは、こうであろうという世界の仕組み。
それらが組み合わさると。
心象内で、世界が再構築されます。
世界は情報が蓄積するほどに、鮮やかに精密に
濃密に見えるようになっていきます。
心の中に世界が湧き出てくるというべきでしょうか。
蓄積の足りない部分はぼんやりとしか見えません。
そういう部分は新情報が公開されると、途端にはっきりと見えるようになることがあります。
場合によっては、世界そのものが壊されて、また一から再構築される
そういうことも起こります。
ごくたまに、閃きによって、世界が人物が物語が一瞬で変貌するのを体感することもあるでしょう。
閃きによって世界が新生し、新世界が新体験を生む。
これこそが読書の基本にして究極。
新鮮な驚き、閃きの快感、新世界の体験。
濃密に蓄積されている部分は驚くほどの完成度で世界が
こちらに飛び込んでくるのが感じられるでしょう。
その世界に登場する人物。
彼、彼女らも情報が蓄積するにつれて、人格がはっきりとわかるようになっていきます。
蓄積が十分ならその人物の心の息吹まで感じるでしょう。
この人はなぜ、こんなことを言うのか、するのか。
わかるようになっていきます。
このお話はそういう読み方もできるのです。
※レビューの完成度 現在37%
※閃きのたびに更新されます
※場合によっては全面刷新も起こります
新体験が新たな驚きを呼び起こし、物語が心に刻まれる。
100話までは、自分も元カノ陣営クッソ嫌いだったのですが、101話を読んで、もしかしたら元カノの根底にある(もしくはあった)ものって、今の二人の恋人と同じなのかもと思いました。
というのも、「なぜここにいるのか」「冒険を続けているのか」というのを考えた時、それは「(危険な場所に)居ないで欲しい」「冒険を止めて欲しい」という想いがあったのでは、と思えたからです。
恋愛感情についてはまだ分からないところですが、主人公と元カノとで互いの思考にスレ違いがあるように感じました。
元カノ陣営のマスターは何やら腹に一物ありそうですが、なるべく主人公サイドの被害も抑えようとしているのではとも思えなくもありません。
ともあれ、続きが非常に楽しみなので、作者様のペースでこの物語の完走を目指して欲しいと思います。
元カノの為に頑張ったが裏切られてしまい全てを諦めかけたが、新しい仲間と出会い、元カノを振り切りつつそれでも心残りのある主人公。
主人公の為に行動した結果逆に主人公を裏切ることになってしまうが、主人公を捨て違う男の所に行っても、心では主人公の事を振り切れていない元カノ。
互いの行動に怒り、悲しみ、困惑し、葛藤する2人の揺れ具合が生々しく両方に感情移入してしまい、モヤモヤするが読むのをやめられない。
主人公の性格上、元カノが不完全燃焼のまま話が終わるときっと幸せになり切れないが、かといって復縁するのは当人達や仲間が納得しない。
元カノが原因なのは承知の上で、彼女にも吹っ切れる様な落としどころが欲しいと思ってしまいます。
NTR物なのに両者とも綺麗に終わるかもと期待してしまう珍しい作品です。
まぁ不幸になるキャラが居ないのは果たしてNTR物と言えるのかは分かりませんが。