戦いだけが冒険じゃない、心を繋ぎ合うファンタジー。

題名通り主人公は同じパーティの冒険者である恋人にフラレて傷心のまま帰郷するところから物語が始まりますが、最初は主人公についてあまり説明がなく白い部屋に足跡だけ残っていくかのような茫漠とした印象を持ちました。
しかし、故郷へ帰る道すがらに出会う少女や以前のパーティの仲間、旅の途中で寄る村人、学園の校長に至るまでみな人を労わる気持ちに溢れていて、実直な主人公の人となりに触れるとともに温かい物語だなと印象が変わってからはページをスクロールする手が止まりませんでした。

キレイな話ばかりではありませんし、主人公の痛みや、元恋人の思い、仲間たちの過去など物語の始めからして苦いものも沢山ありますが、この物語は人と人、言葉と心の巡り合いでお互い支え合って自分の心を掴むようなその過程がありありと描かれているのだと思っています。
もちろんファンタジー部分も素敵なんですけどね!「突貫」かっこよすぎる...

全員にはその魅力が伝わらないかもしれませんが、この物語を読んだ方やこれから読む方にその一部でも伝えられたのなら嬉しいです。私はこの小説が大好きです。