我はネタバレ全開でレビューいたすので、先に本編を読むでござる〜〜〜〜〜
新宿で丸ノ内線に乗り、だらだらと池袋へ。電車の中は、そう、とてつもなく暇! しかも正面の席でJK同士イチャイチャしてやがる!
いいかね諸君、小生は百合の間に入ってめちゃくちゃにぶっ壊したい性癖なのだ!
ふん、頭に血が上ったところ、ほう、相互さんの小説でやんすか……
タイトルの意味はまだよくわかりませんな! だが熱いものを、萌えを感じますな、キーワードに。
そして、我輩は、最初の一文に頭をガ〜〜ンと殴られるわけですわ。
ふむ、幽霊でもみたのですかな。幽霊は撮影できませんな。にしても妙にスピード感のある文章、疾走しているみたいで体重三桁の我輩には少々こたえますなwwwww
ほ〜〜ホァ〜〜〜〜〜
ええ!? 中学生なの!? ていうか、幼馴染完全にカマセやん!!どんな顔してんのかすら明かされないし、この女子の心には罪悪感しかないし、ほんともう、ドンマイ! 脈が全然なさすぎて我が代わりに泣くから強くいきてくれ!
そしたら、うお、出てきた。こいつは本命だわ。
ヒエェ〜〜〜〜ここで幼馴染に対するバックスタブ出たぁ〜〜〜〜〜〜
大きくなったわね? 何が? おっぱいが!?
なるほどなるほど、ほう、この女ァ〜〜〜〜
と、読み終わりましたが、すんげーネガティブな女子がポジティブな意味で否定文を使って終わるってのはなんとも味わい深い。
この後、二人して三角屋根のラブホテルでいちゃいちゃするんですな。いやーめでたい!!突撃じゃァ〜〜〜〜〜〜
レビューというか感想です。
以下の破線より先に、本編に関する重大なネタバレおよび考察を含みます。
ただ、本編を読んで損をすることはないことは保証しますし、仮に「損した!」と仰るならこのレビューもまた読んで損することは請け合いなので、ここで見聞きしたことは忘れてください。
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まず、半端なく自意識が高く自己評価の低い少女が、ままならない自分に腹を立てている。高いのが意識ではなく自意識ってのが生々しい。マフラーに頬を埋める動作一つをとっても「きっと可愛らしい仕草ではない」とか言いながら、幼馴染みだが特に気のない少年を値踏みして「その私のお願いを、彼には断ることができない」とか。少年に対して何で好きになっちゃったんだろうと気遣う一方で(これも気遣いと言うよりは持て余しているに近いだろうが)、意気地がない・卑怯・私が私じゃないみたいなど、必死に自分に弁解しながら中途半端に袖にする。難しい年頃なのだろうと言ってしまえばそれまでだが、これでは余りに少年が哀れである。
だが、それがまたいい。恐らくこれが、この少女のキャパシティなのだろう。
次に登場するのは、駆け込み寺ならぬ教会のお姉さん。覚束ない記憶を辿りに何の計画性もなくやってきた。だが、程なくして少女の本当の目的というか真相に近い心理が明かされる。「吐き出した、そんな感じが確かに、した。」。ここで少女が得たものは、暖かいマグと一緒に、崩壊しそうな自意識を繋ぎ止めてくれる存在だった。少女はそんなお姉さんをずるい・卑怯だと表現した。ここで少女が自身に向けた「卑怯」と、お姉さんに向けた「卑怯」が、全く種類の違うものであったのがとても興味深い。
あくまで自然体で、答のないものに答を出さない。逃れ得ないものから目を背け続けた少女の「卑怯」を救ったのが、ことさら構えずに包容してしまう類の「卑怯」だったというコントラスト。
そして最後に、少女は「秘密」に手をかけようとする。手元にない日記とカメラが暗示するのは、それを切り取ることの出来る「絶対に先送りにしてはならない」今が、その瞬間にしか存在しないと言うことだろう。
なぜ少女はそのAtticを見なければならなかったのか? そしてそこで何を見ることになるのか?
そこに想像の余地を残した、素晴らしい余韻で締められていると思います。
子供の頃のぼくは屋根裏部屋に住みたかったし、もっと言えばツリーハウスが欲しかった。
けれどもうちには屋根裏に続く階段はなかったし、ツリーハウスを作れるような大きな木もなかった。
だから仕方なしに近所の神社の敷地内に秘密基地を作ったのだが、中で火を焚いたところ、ボヤ騒ぎになってめっちゃクソ怒られた。
ダンボールで出来た基地はよく燃えた。
なんでぼくが幼少期のアホエピソードをこんな形で披露したのかというと、この作品の主人公であるところの「私」と、幼少期のぼくが求めていたものは同じようなものなのでは無いかと思ったからだ。
結局のところぼくが屋根裏部屋やツリーハウスや秘密基地に求めていたものといえば、「誰にも怒られずにお菓子が食べたい」とか「夜更かしがしたい」といった小さな逃避だった。
透明感のある文体で丁寧に描かれたこの物語は、逃避の物語だ。
作品の中で、「私」はずっと逃げ続けている。
(もしかしたら、関西への進学についてもその一環なのかもしれない)
逃げながら終わりのない自己嫌悪に陥る「私」は、けれど作品中の誰よりも優しい。
逃げ込んだ先で「私」が目にするものが何か想像はつきないが、それはきっとひとときの安息を彼女に与え、前に進む力を与えてくれるものだろうと思う。
屋根裏部屋はそういうものであるべきだからだ。