少女の意識を鋭くえぐる的確な言葉の迫力が見事です。

「じゃあ、またね」
 走り去る、その足取りの軽さが嫌いだ。晴れた空に感じる、どこか爽やかな気持ちが醜い。どうしてこうなってしまったのか、それに気付かずにいられるほど、きっと私は幼くなんてない。ひとつひとつ〝卑怯〟を積み重ねて、そのうえから溶かしたチョコレートをかけるみたいに、たっぷりたっぷりの嘘をまぶす。
                               (本文より)

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