笑わなきゃいけない筈だ――でも、こいつぁ、物書きとして全く笑えない。

笑えない、笑っちゃいられない。
そう思えるほどに面白い。
物書きとして危機感を感じる程に面白い。

――何が面白いって?
現代伝奇として面白い。
吸血鬼ものとして白眉だ。
ボーイミーツガールとして完成している。
 
――何が危機感を感じるって?
これを今まで読んでいなかったという現実に。
この話を自分が書けるかと言われたら「否」と言わざるを得ない事実に。
恐らく同じ材料は持てる世代であるだろうに、これを調理できない実力不足に。
 
現代伝奇と吸血鬼。
ボーイミーツガールと学園。
 
00年台のサブカルを駆けずり回ってきた人間なら、恐らく誰もが舌なめずりする極上のテーマ。
それを汲み上げ、組み直し、そして若干今風の味付けで調理されたものが、正にこれです。
 
ついつい、レビューもポエミィになるほど面白い。
私は私を恨み続ける。
この作品をとっとと読まなかった私を!
 
このレビューを読んだアナタは、私のようにならないでください。
今すぐにこの作品を読んで、私のような後悔を抱かないで欲しい。
私は切に、そう願っています。
ああ、全くもって――笑えない。
 
それ程までに、面白い。

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