五舐め

残りは、カップの中に収まっている。

ここまで来たらもうラストスパートだ。


この締めのテクニックとしては、

アメリカンスタイルやブリティッシュスタイルが、近年脚光を浴びているが、

無論、我々が取るのは和式である。(日本式あるいはジャパニーズスタイルとも言うが、定義の仕方に多少ズレがあるため、和式と表記させていただいた。そのズレについては、ここでは紙面の都合上、省略させていただく)


和式は、その始まり、平安時代の闘茶からだと言われていることは、

上杉謙信が実は女性であったと言われていることと同じくらい、

皆の耳に触れる機会が多いであろう。

故に、こと細く書く和式について書いて行くことは、避けたい。

しかし、少しだけ、忠告させていただこう。


まるで、お茶を飲むかのように、

カップを茶碗に見立て、チャップ(茶碗に見立てたカップの意)を両手で押し抱くようにし、

一思いに飲むのが、和式、である。

(洋式は、ラストにスプーンなどのカテラリーを準備し、それらを使いこなす)


が、ここで、鼻頭にソフトをつけるのはよろしくない。

せめて唇までだ。


ここ最近の傾向として、過度なドジ要素は、受け入れられなくなっている。

これには、メイド喫茶などが増え、「ドジっ子…かわゆす」と安易に土足を入れたのち、

その本性(バイト時間外)を知って絶望すると言うケースが増えて来ていると言う社会背景も後押し、

社会全体の風潮として、過度なドジ芸術点は、(仮に点数を重ねたとしても)社会的には受け入れられないのだ。

故に、今回は手堅く前半部分に、少しだけその要素を用意した。


賢明な読者諸氏の中には、名を取って、実を捨てると言うものが多いと思う。

むしろ、名を捨て実を取ろうなどと言う資本主義の奴隷に堕ちる者は、

いないと述べた方がより正確であろうか。


心がけていただきたい、唇上までで収めると言うことを。

そして、唇に付着してしまったソフトたちを、

その端正な右人差し指で拭き取り、

その豊かな双丘に、可憐に押し付けるのである。

(上か、下か。どちらも甲乙つけ難いのは、言うまでもない)


ここまでの動作をまずマスターすることが、

ソフトクリーム派舐め道を志す者の、第一歩になるであろう。


つゞかない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

正しいソフトクリームの舐め方を考える。 鎌田玄 @kenken-smile

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ