正しいソフトクリームの舐め方を考える。

鎌田玄

一舐め

ソフトクリームのサイズは、15センチ程度が望ましい。

これには、色々な説があるが、

5センチ前後の短小では物足りなく感じ、

20センチ前後のおっきいのではお腹を痛くしてしまう可能性があるからだ。

(もちろん、お腹が冷えてしまうためであるという事は、想像に難くない)


昨今、色々なメーカーから、多種多様な味が販売されているが、

やれサクランボだ、やれサツマイモだ、と惑わされてはいけない。

紳士淑女の諸君は、王道の、バニラ味にしなければならない。


純真無垢な真っ白いミルクこそ、我々の根源である。

舐め道、特にソフトクリーム派舐め道は、

人の生と重ね合わせ、白に始まり、白に終わるのである。

(真っ白の産着に包まれ生まれ、真っ白の死装束に包まれ死ぬという事は、想像に難くない)


濃厚な牧場系ミルクも捨てがたいが、

それこそ、そのような格式高い味わいは、本番で使用すべきであり、

練習段階では、200円〜400円程度の、比較的シンプルな味わいを楽しめる

バニラ味で申し分ない。

(本番タイプと練習タイプという区別で問題ない、そして本番にはある種、ご褒美のような感覚もあるだろう)


近年、コーンタイプが主流であるが、ここはリアリティを求めて、カップタイプを押したい。

そもそも、コーンとソフトの味が混ざるのは、不自然であろう。

仮に、コーンとソフトの味が、生魚と酢飯の共同生活よりも、格別であるという

訳の分からない俗説を唱えるものがいるならば、

彼(あるいは彼女)は、火星人の可能性もあるという事を、

我々は、頭の隅に置いておかねばなるまい。


そして、冷え冷えのカップを、優しく両手で包みこむのだ。

まるで、親鳥が雛鳥を抱きしめるかのごとく。

これには、一つ理由がある。それは重心の位置だ。

カップの高さに比べ、ソフトクリームの高さは、通常2〜3倍ほどあり、

重心が浮いてしまうという傾向が見られる。

そのため、しっかりと両手で包み込むことによって、

全体を安定させようということなのだ。

そのため、シッティングで、その股間部分にカップを持ってくるスタイルは、

上の上と言えよう。

(もちろん、股間部分が、座った状態で一番安定した位置にあるからだという事は、想像に難くない)


ここで焦って、胴体部分に唇を近づけていけない。

舌がソフトクリームとの、ファーストコンタクトであるべきだ、と

昔のえらい人も言っていたのだ。

舌先、主に甘味成分を司る先端部分を、

テュルリンと蠱惑的に我々を魅了する、てっぺんの弧に向けて、

挑発的に伸ばしていくのだ。


賢明な読者諸氏には、まさかいないとは思うが、

付属品のスプーンなぞで、先端部分を絡めてはいないだろうか?

スプーンは受け取る時に、断るのが、紳士淑女の嗜みである。


つゞけ

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