中年熟女を鬼嫁呼ばわりすると激しく怒られるけど、こちらは少女なので。

最初に作品タイトルから連想した内容は、泉ピン子主演の「渡り世間は鬼ばかり」。
「鬼嫁」のキーワードから普通に連想するでしょ。でも、これは年配者の発想かも知れない。
読み始めてからは、冒頭で「時代物なのか?」と勘繰り、
2話目からのコメディタッチな点から、高橋留美子先生の「うる星やつら」的な展開を予想しました。
実際は「うる星やつら」よりヒューマンドラマ的で、青年~成人向けの小説です。
成人小説の要素は皆無ですが、大人の読書に耐えうる作品です。

冒頭に振られる数々の謎も、物語の終盤で一挙に回収されます。
非の打ちようが無いほどに理屈が通っています。勿論、ファンタジー物としての理屈ですけど。

ネタバレを避け続けると、本作品の魅力を一つも伝えられないので、
「ヒロインは鬼です!」
と言う事だけ叫ばせて下さい。

ヒロインが可愛い。そして、純真な心を持っている。芯も強い。
きっと貴方(貴女)も好感を持つでしょう。
そして、グイグイと惹き込まれるはず。

彼女に多少ズレている面はありますが、それは御愛嬌。だからこそコメディタッチに仕上がる。
ヒロインに圧倒されて、大概の脇役は「脇役だわな」と薄い印象ですが、
終盤で1人、骨太な脇役の正体が暴露されます。
中盤までは非常に当該脇役の存在感が薄く、そんな展開が効果的に終盤を盛り上げます。

話は変わりますが、作者の別作では、「駅で巡る江戸文化」を読みました。
学芸員の資格取得を目指した方らしい、歴史の蘊蓄に富んだエッセイです。
他にも読んだ記憶が朧にあるのですが、古い作品は掲載リストから外しているのかも知れません。
結局、現在掲載中10作品の内、本作と「駅で」以外の8作は未読なんですが、
私が執筆者を登録していると言う事は、何か過去に面白い作品を読んだからです。
他8作品に関するコメントは出来ませんが、高い確率で面白いと思います。

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