色覚異常の少女が「世界の美しさ」を知っていく物語

先天性「一色型色覚異常」で色を視認することができない川口彩美には、世界がモノクロに見えている。だからといって、暗くなっているわけではなく「あたしはそんな自分が大好きだった」。しかし、ある事件がきっかけで、彩美はそのことに負い目を感じるようになり、引っ込み思案になっていく。

そんな彩美を「色のある世界」に導いてくれたのが、彼女が「師匠」と呼ぶ年上の男性だった。
作家である彼は、言葉を使って「色を創造する」ことを彩美に教えていく——。

この作品の素晴らしい点はたくさんありますが、個人的に、特に心を打たれたのはタイトルです。一見何でもないようですが、そこに込められた意味が分かってくると、それだけでもホロリとさせられます。

また、主人公の彩美、師匠、彩美の恋の相手など、登場人物たちもとても魅力的。
読み終わったとき、心に春風が吹くような感動を与えてもらいました。

作者さんがまだ高校生であることも考え合わせ、何らかの賞が与えられるべき作品だと思います。

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