現実と異世界の狭間の葛藤 リアリティがあります

2章途中までの感想です。

普通の異世界物の場合は元の世界に戻るという選択肢が無い場合が多いところで、この作品は多少の制限はあれども二つの世界を行き来できるところに大きな魅力があります。

現実世界では冴えない暮らしをしていると、異世界の方で暮らしたくなる(=現実逃避)となりがちですが、安易にその選択をしないところがとても現実的です。数十年暮らした世界は、そう簡単には捨てられるものではありませんから。作者さんは「30歳以上限定~」という企画を立ち上げられるだけあって、とても大人な感性を持たれているのでしょう。

各章は1視点とキャラに愛着が湧きやすいメリットを残しつつ、章が変われば視点が変わる群像劇となっており、多視点から1つの場面を読み解くことで物語に深みが増すように構成されています。とても優れた手法と感じました。

みなさまもぜひ一度お手にとってみてはいかがでしょうか。

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