等倍で進む時間の中で

BGM: “One More Time” -Daft Punk-

 どこかにいそうな少年少女が、国家や組織と関わる非現実的な生活と、これから起きる危機に思いを馳せている。
 そんな時に思い浮かぶのは、舞台袖に黒い幕が垂れ、上からライトがステージへ降り注ぐ中、俺は檜舞台(というと古いが)から離れたところで、ゆったりとシートに座りながら彼らの演技を見ている光景。
 その文体がそうさせるのだと思う。演劇のシナリオ風であり、それでいて展開は平坦だ。キャラクターの日常的な会話や掘り下げにゆっくりと時間が割かれ、その一方で聖が野心を語るシーンがあるなど戦闘の存在など、どこか不穏な空気さえ感じられる。読みやすく、またゆっくりと読んだ時や駆け足で読んだ時の印象も変わってくる。
 斬新な感覚で読める、深いキャラクター愛に満たされたこの「演劇」に期待しています。

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