デスゲーム
____目が覚めたら白い部屋だった
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副題 本編
目が覚めたら白い部屋にいた。
周りには様々な人間がいる。この状況を怖がっている事以外、共通点はなさそうだ。
そうこうしている内に、悪役らしい声が聞こえた。
「全員起きたか。では、説明を始めよう
____君達には、デスゲームをしてもらう」
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目が覚めたら白い部屋だった。無機質で広く、病院に似た雰囲気がする。
周りを見ると知らない奴ばかりだ。老若男女様々だが、どいつもこいつも不安そうにしているのだけは共通している。おそらく十数人。
「全員起きたな」
声に反応して身構える。しかし、どうやら相手はここにいないようだ。真っ黒なテレビが壁にあり、そこから声が聞こえてくる。悪役に相応しい声だ。
「では、説明を始めようか」
「説明って何よ! さっさとここから出しなさいよ!」
キーキーうるさい女が画面に食ってかかる。最近のマセガキらしい格好だ。制服を着崩すだけ着崩して、髪を馬鹿みたいな色に染めて、分厚い化粧をして……もう少し、体の事を考えれないのだろうか。
だが、テレビのは至って冷静だった。このくらい予想していたのだろう。
「君達にはデスゲームをしてもらう。これはその説明だ」
「デ、デスゲーム!?」
真っ先に反応したのはマセガキではなく、オタクっぽい少年だった。今時珍しい瓶底眼鏡に黒髪とソバカス。真面目そうだが、委員長だのといった目立つ事は嫌がりそうな、そんな雰囲気だ。
オドオドした口調で少年は話す。
「デ、デスゲームって、あれですよね。ま、漫画とか、アニメとかの……」
「ああ。勿論、あんな簡単な物じゃないがね」
「か、簡単!? あんなのが!?」
少年は両腕を抱くとその場に縮こまってしまった。ガクガクと震えているのがここからでも分かる。
「嫌だ……ぼくは死ぬんだ……嫌だよ、まだ撮り溜めたアニメがあるのに……」
「あぁ!? うっせぇんだよ馬鹿が!!」
ホスト風、と言えば聞こえが良いが、馬鹿丸出しの一昔前のヤンキーみたいな男がテレビに向かって中指を立てた。
「に、にいちゃん……でも、ぼく、にいちゃんみたいに強くないし……」
「おめぇが死ぬわけねぇだろうが! おれが守ってやんだからよ! それに、どーせハッタリだ、あんなん」
兄弟かよ、全然似てないな。しかし、仲は良さそうだ。ホスト風のはしゃがみこむと、少年と目線を合わせて何か話し出した。
テレビから咳払いが聞こえる。視線がまたそこに集まった。
「話を戻そう。君達、鬼ごっこのルールは知っているかね?」
「そのくらい、知ってますよ」
安堵したような声色で老婆が言った。あんなヨボヨボじゃあ、大概のゲームでは負けるだろうからか。それとも、懐かしい遊びに興奮しているのか。
他にも似たような台詞が周囲を飛び交った。逆に知らない奴はいないだろう。
「良かった。私は説明が苦手でね……できるだけ、手短かに済ませたい」
「なら早くしなさいよ! 私、これから友達と遊びに行くんだから! 遅れたらヤバいの!」
「そうか。しかし、すまない。おそらく君は遅れるだろう」
パチンと指が鳴る音がした。
「君達には、彼から逃げてもらいたい」
その台詞と共に、自分にスポットライトが当たった。全く。目立つ事は嫌いなんだ。
「ただの人間かよ。しかも弱そうだなぁ、おい」
筋肉ダルマが吠える。そりゃあ自分は弱そうに見えるが、そう見えるだけだ。
立ち上がり、足を伸ばす。これで少しくらいは強そうに見えるだろう。
「彼は人間ではない……が、説明は面倒だ。終わった後に本人に聞いてくれ」
「言いません。機密情報ですので」
「……時間は1時間、場所はこの施設内ならどこへでも」
深いため息が自然と口から溢れた。
1時間だって? そんなの___長すぎる。時間の無駄だ。もう少し効率という者をこの人は考えてくれ。無駄だ。無駄はいらない。ああ、無駄と言えばこいつらだ。社会の無駄だ。死んでも、生きても、何も変わらない。平凡な日常が、ただ流れる。
「良いかい、ゲルブ」
「はい」
無駄は潰そう。排除しよう____
「殲滅を開始します」
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