ハロウィンの因縁

____そして"彼"はいなくなった

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副題 本編


3年前、弟は居なくなった。


ーーーーー


疲れましたし、ハロウィンは既に過ぎてました。

面倒になって途中で放り投げた結果、こんな物になりました。短編と言うべきか、ショートショートストーリーと言うべきか。




この作品に期待はしないで下さい。


#####


 顔を上げると、冷たい風が頬を滑った。

 いよいよだ。俺は決意を胸にこめて、帽子で顔を隠した。


 3年前の今日、10月31日。弟は消えた。

 原因は分かっている。ハロウィンの魔女だ。奴は、気に入った者を否応無しに連れ去ってしまう。弟は人に好かれやすい性格をしていた。おそらく…………いや。そうとしか、考えられない。

 魔女が連れ去った奴をどうするかは知らない。実は、弟は幸せに暮らしているかもしれない。そう思って俺は生きていた。昨年までは。

 ハロウィンの日に、家の前に置かれていた弟の死体。それは、八つ裂きにされていて、目玉も、舌も、髪も、皮膚も、何もかもが無かった。肉塊ですら、無かった。骨も殆ど無く、唯一それが弟だと示していたのは、右手小指の指輪だった。

 それは、今、俺の首にかけられている。夕日に照らされて鈍い銀色に輝く指輪は、俺が生きる目的であり、俺の希望だ。これがあるから、俺は1年も生きれたんだ。左手で握ると、冷たい感覚があった。


「トリック、オア、トリート!」


 その声に顔を上げる。間違い無い、魔女の声だ。

 音の方向を見ると、幼子の姿をした魔女が、変わった雰囲気のする青年に話しかけていた。青年はギターケースよりも大きい直方体の箱を2つ持っていて、柱のように綺麗な方を背中に、寄木細工を左手に担いでいる。そして、身内の死にすら無関心でいそうな程冷たい目を魔女に向けていた。


「えっとね、オカシくれないとイタズラしちゃうよ!」

「はぁ。イタズラって、どんな?」

「えーとね……木登りするほどビックリするもの!」

「へぇ。俺を殺すってのかい、お嬢ちゃん」


 青年は嬉しそうに冷たいままの目を細める。思わず、そこで足が止まった。

 青年は左手の箱を地面に立てた。そして、目線を合わせる訳でも無く、魔女をただ見下ろす。

 魔女が首を傾げた。


「木登り、できないの?」

「あー、首吊りはやってみたんだけどなぁ……いかんね、あれは。痛いし苦しいし見栄えも悪いし。芸術とは程遠い」

「じゃあ、海に行く? それとも、戸棚に隠れる?」

「んー、とても芸術的な死に方がしたいね。例えば」


 青年が右腕を振る。黒い義手が伸びた。


「こうやって、化け物にでも殺されたいかな」


 箱が開く。柱のようなのは縦に裂けて、寄木細工は秘密箱のようにバラけて。そうして中から出てきたのは、黒々しい化け物だった。

 化け物は魔女に襲いかかる。奴は顔を強張らせたが、すぐに化け物に飲み込まれてしまった。


「……ハハッ」


 笑いが込み上げてくる。どう我慢しても、表情筋が勝手に動いてしまう。腹を抱えて全てを吐き出すと、青年はこちらを見ていた。冷たい、元の無表情だ。


「ああ。目撃者キチガイも消そう。騒がれちゃあ、困るからね」


 化け物がこちらに向かって来

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