雨
____意味なき短編
0PV 星0
副題 寒時雨
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パァンと音が響いて、俺の目の前が真っ赤に染まった。
突然の事で、頭が追いつかない。
赤いのは血。冷たいのは雨。響いたのは銃声。目の前で倒れたのは……貴方。
やっと理解できた。
名前を呼びながら半狂乱で駆け寄ると、貴方は憎たらしい笑みを浮かべて「馬鹿が」と吐き捨てた。体が冷たくなっていく。
ああ、嫌だ。抱きしめても貴方は冷たいままだった。
「そ、そうだ! きゅ、救急車! 呼ば」
「いい……それより。あれを、捕まえ…」
か細い声で俺にそう言うと、貴方はそのまま動かなくなってしまった。
体から力が抜けていく。ドサリと音がした。
これは絶望だ。全て失ってしまった、俺の絶望だ。
「カカッ! 人間ハ脆く儚いくセしテ、共に生きようとする……愚カダナ」
相手の笑い声が聞こえた。耳障りだ。それにうるさくて……こんなのに貴方は殺されてしまったのだと考えると、悲しくて悲しくて涙が溢れていく。ポロポロ、ポロポロと。
そして、許せなくなって来た。なぜあれが生きているんだ? なぜ貴方は死んでしまったのに、なぜあれは生きているんだ?
俺は落ちていた鉄パイプを掴んで、奴の背後から叩き込んだ。グシャア、と面白い音がした。
そのまま何度も何度も何度も何度も、狂いそうになるくらい叩いて、気づいたらコンクリートが真っ赤になっていた。
息を切らして空を見る。頬を冷たい雨が這っていった。
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