刮目せよ人類! SFの聖書的側面

 戦争へと向かう世界。
 その戦争を食い止めるため、一人の科学者が命をかけて反逆し、ある事実を世界に公開する。
 だがその勇気ある行為が、逆に世界の破滅を加速させてしまった……
 崩壊へと向かう世界を、人類の愚かさを、わずかな希望を描く。

 すばらしかった。
 SFとは何か?
 単純に考えれば「科学を題材にした娯楽物語」ですが、でも娯楽というだけでは説明できない、百年前から続く、もう一つの潮流があります。
 
 人類を断罪し、悔い改めよと警告する、聖書の如きSF。
 革命宣言ですらない。人の身で、聖書を書こうというのだ。
 もちろん傲慢だ。でもその傲慢と蛮勇こそが胸を打つ。

 この作品は、「聖書の如きSF」のど真ん中豪速球です。
 今の時代に必要な新しい聖書です。
 
 素晴らしいです。