第六話 初音ミクとダイナミック自演ズ
そして、一週間後。ウナはヘッドホンを被り、マイクの前に立っていた。隣には同じくヘッドホンを被ったミクが立っていた。
「音街。やるぞ」
「わかりました」
二人は意気込んでいた。
すると、スピーカーから袴田の声が聞こえた。
『じゃあ、二人ともまず一番のAメロから。よろしくお願いしますねー』
すしはというとゆかりと一緒に店の方へと回っていた。
そして、二人が被っているヘッドホンから音楽が聞こえて来た。それは次発表する楽曲のものだった。
まず、一番のAメロが録り終えた。
このように順調に進んで行き、あっという間に録音が終わった。袴田がスタジオの扉を開けて二人のいる部屋へと入ってきた。
「お疲れ様!二人とも良かったよ!」
「あ、ありがとうございます!」
「あんがとな」
「それでできたの聞く?まだミックスをしっかりしてるわけじゃないんだけどさ」
袴田が不安そうに聞いた。だが。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「はかまー。頼んだ」
「了解」
袴田の不安をかき消すような二人の威勢を象徴するように音楽が流れ始めた。
ウナはものすごい達成感を味わっていた。
今まで路上ライブを続けてきて誰も振り向いてくれなかった。その時、友人に差し出された楽曲が心に沁みた。そして、その楽曲を制作した人たちの元へ行った。そしたら、その制作をしていた人たちが自分と音楽を作りたいと言っていた。
そして、完成した。
この感動は絶対に忘れることはないだろう。
4分52秒の『初音ミクとダイナミック自演ズ』の新曲が完成した。
全て聴き終わってもウナは動かなかった。
「音街?」
ミクがウナを呼んだ。だが、ウナは動かなかった。
「音街!」
ミクがウナの肩を揺すった。すると、そこにはウナの頬を伝う雫があった。
それを見たミクは。
「良かったな、音街。お前がここに来て良かったって思うなら私らは歓迎するぜ」
そして、改めてミクはウナを見た。
「ようこそ初音ミクとダイナミック自演ズへ」
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