第四話 先輩と音街
「では、わたしは何から始めたらいいですか?」
ウナがそう言うとみんながうーんと考えこんだ。すると、袴田が言った。
「今日はもう何もしなくてもいいよ。また、連絡するよ」
と言って連絡先を交換した。ついでに他のメンバーの連絡先も交換した。
「では、今日はありがとうございました。また、よろしくお願いします」
頭を下げてから建物を出て家へと向かった。
その道中、手で顔を隠していた。
(初めて才能あるって言われた……!今まで言われなかったのに……!いざ、面と向かって言われるとすごく恥ずかしいよ〜)
とこんな調子で家へと帰った。
家に帰っても相変わらず何もなく一人寂しかった。
「邪魔するぞー」
突然、ミクが入ってきた。
「え、えーッッッッ⁉︎」
あまりにも突然すぎたのでウナは飛び上がってしまった。
「おっす、音街。作業場見たくて来たぞ」
「いや、いいですけど。急すぎてビックリしましたよ」
「そうだろうな。あの時、言いそびれたからな」
と言うと部屋を見渡した。
普段、ウナが路上ライブをするときはアコースティックギターを持って弾き語りをしていた。だが、そのほかに機材などは入れておらずシンプルであった。
「そっか……。何もないのか……」
「そうですよ。機械音痴でもありますから」
「いや、機材があってそれで曲作っててもいいの作るだろうなーとか思ってたんよ」
「え?」
「いや、そこ驚かないでしょ。でもま、私らのとこ来たからある程度は良さげだけど」
「というのは?」
「あれじゃん?EDMを使ってるからある程度の音は出せるから全然、問題ないってことよ」
と急にミクがキッチンへと行った。
「一人ぐらいだから自炊とかしてるでしょ?」
「え?あ、はい。一応は」
「何か一品作ってくれない?はかまーらが全部食っちまって」
今、昼時なのだがあの二人はどれだけ食べてるんだろうとか疑問を持った。結論は大食いとなった。
「わかりました!先輩の分も作りますね」
「先輩、か……」
ミクは感慨深そうに言った。嬉しいのだろうか。
ウナは二人分の料理を作って食卓に並べた。
「お、うまそうだなぁ」
「一応、一人暮らししてから結構時間が経ってますから」
「それでも、料理出来るってすげえよ。では、いただきます」
ミクはそう言ってウナが用意した料理を食べ始めた。
「うまいなぁ」
「あ、ありがとうございます!」
慌てながらもミクの感想に返事をした。
「ま、あれなんだけどさ」
「?」
ミクの言葉に疑問符を打った。そして、ミクは続けた。
「これからよろしくな」
ウナは満遍の笑みで答えた。
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます