第三話 互いの音楽

「じゃあ、改めて自己紹介をするわ。私は初音ミク。ここのボーカルをやってる。で、こっちは」


「作詞作曲ギター担当カルロス袴田だ。こっちは」


「すしっす〜。普段は裏方で動画制作とかしてます〜。ライブだと邪魔してます〜」


(邪魔してるの……?)


と三人に紹介された。


「初めまして、音街ウナです。動画で『OhSOS!!!』をみてきました」


ペコリと頭を下げた。


「『OhSOS!!!』から来てくれたの?それはありがたいね」


「そうだね〜。あのミクさんの吹き出しのやつも良かったしね〜。本当に言ってる感じがなんとも言えないよね〜」


「でも、ま、あれは僕たちの転機となった曲だし余計ありがたいよね」


「え?転機ですか?」


とウナは気になったので聴いてしまった。


「そうそう、昔は動画投稿してたんだけど途中でやめちゃって最近、また作ったんだよ。それがあの曲なわけよ」


あの曲は『OhSOS!!!』のことだ。


「え?人気とかは?とってもいい曲じゃないですか」


「さっきの見ただろ?それが今の現状なわけよ」


言われてみればとウナは苦言してしまったと少し後悔してしまった。


「あ、で、袴田さんはなんでわたしを欲しいと思ったんですか?自分で聞くのもあれですが……」


「君の声が良くてねー。多分、高い曲とかいけるでしょ?」


「高い曲とは……?」


「例えば、動画で後で見るといいけど『ロストワンの号哭』って曲とか」


「わからないのでまた聴いて見ますね?」

「じゃあ、よろしく頼む。次回作から出て欲しいからね」


「じ、次回から⁉︎」


驚き過ぎて声をあげてしまった。


「そうだよ。まだ、次回曲はまだほとんど決まってないからね」


「で、音街も加わったことだしどういう曲調でいく?前作と同じ感じにすんの?」


ミクが聞いた。


「そうだねー。前みたいにバンド調でデュエットとかどうかな?」


「デュ、デュエット⁉︎」


「ど、どうしたの?」


「いや、わたしただ見にきただけなんですけどこのバンドに参加してもいいよですか?」


ウナは正直思っていたことを言った。


ファンの一人として見に来たのに参加しても良いのだろうか?


そんな疑問が頭を巡る。


とミクがウナの肩を持って言った。


「さっきの言い草だと私らがOKと言ったら入ってくれるんだよな?」


「そ、そうですね……。OK言っていただけるのであればわたしは参加しますよ」


「なら、決まりだ」


「え?他の方は?」


「だって、私ら、君がここで歌いに来てくれた時にピピーンと来たんよ。この子は絶対に売れる。この子は埋もれている才能だってね。だから、今度スカウトしに行こうかなとか考えたんよ。な?」


「そうそう!こんな才能埋めておいたらダメだってね!」


袴田が反応した。


「そうだね〜。ウナちゃんはスタイルもいいからウケそうだしね〜」


「ス、スタイル⁉︎」


「そうじゃん!ちょっと貧相なところもあるけど」


「そ、それは言わないでください!」


「とりあえず分かっただろ?」


ミクがそう言った。


「は、はい!よろしくお願いします」


そして、ウナは『初音ミクとダイナミック自演ズ』というバンドに参加することとなった。

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