第五話 新曲製作開始
それから数日後。ウナはミクたちに呼ばれていた。
「それでわたしに何の用ですか?」
早速、たどり着いたウナは質問していた。
「おー!来てくれたんだねー!」
と袴田がテンション高めに応対してくれた。
「今日はね!新曲についての参考をもらおうと思って呼んだんだよ!」
「参考?」
「そうなんよ。音街」
それについて答えたのはミクだった。
「私らの新曲を考えるにあたって音街の音域について知りたいわけよ」
「それで呼んだんですか?」
「そういうことだな」
袴田はパソコンの画面の前に座ってデモ音源を流した。
それは前作とは打って変わってバンド調であった。
「これがその音源ですか?」
「そうそう!ツインボーカルになるからきっちり2人分のメロディも入ってるよ!」
袴田がそう言ったので気にして聞いてみると言った通りに2つのメロディが聞こえた。
「じゃあ、早速、叫んでみて!」
「あ、はい!」
叫んでみようと心の準備をしたが。
「さ、叫ぶ!?」
理性が帰ってきた。
「そうだよ。ダサい感じの曲だけど」
袴田が冷静に返事を返した。
「そ、そういうのじゃなくて!わ、わたし女の子ですし……」
ウナは少し恥ずかしそうに答えた。
「そんなの気にすんなよ。私だって男みてえな喋り方だけど女だぞ?」
とミクが答えた。そう言われてもミクはそんな感じの印象が強すぎて特にそう思わなかったと言うことは本人には言えないのだが、それでも女の子らしくしたかった。
「大丈夫!大丈夫!見た目とのギャップって必要じゃない?」
いえ、そんなカッコよく言われてもなんとも言えないです。
そんなツッコミを入れながら仕方なくすることにした。
「ああああああああああ!!!!」
この新曲のメロディに沿って叫んでみた。
「あー!恥ずかしい!」
ウナはすぐに赤くなった頰を手で隠した。
「いいじゃん!これいけるね!」
袴田はそう言った。
「そうだな」
「そうだね〜。行けそうだね〜。動画の字幕が見えてくるよ〜」
ミクといつの間にかいたすしが答えた。
「本気で言ってるんですか!?それ!」
「言ってるよ」
「……!」
ウナの恥ずかしさがだんだんと上がってくる。
「どうせ、私も叫ぶんだ。気にすんな」
ミクがウナの肩に手を回して言った。
「全然、ダメです!」
「だが、こんないい感じの声が出せるのに出さないのはもったいないと思わないか?」
「そんなことないですって!」
「はい、じゃあ、はかまー。頼んだ」
「わたしの話聞いてください!」
ミクは完全にウナを無視して話を進めていた。
「このまま進めるよ?」
「おーけー。録音はいつぐらいからになりそう?」
「多分、来週からかな」
「じゃあ、音街」
そして、ミクはウナを見直した。
「これからが本番だぞ。恥ずかしがらずに録画するぞ」
「いや、恥ずかしいですって!」
というわけで新曲の内容がある程度決まったようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます