あとがき
此処まで、お付き合いいただき、本当にありがとうございます。
このお話は、最初、優しい笑顔を受けべ、処刑される少年の姿が頭に浮かんだ事で、生まれました。
その後、弟を守るために、弟を殺したと嘘を吐いて、処刑される。というのが頭に浮かび、こうして、書き始めたものでした。
しかし、このスンジェという少年は、書いているうちに、彼が一体何を考えているのか解らなくなり、結局、最期まで、私は彼を理解する事ができませんでした。
いや、もしかしたら、実は、私は、最初から何も解っていなかったのかもしれません。
解っていた事は、彼は、酷く幸せで、満ち足りた気持ちで逝けた、という事だけです。
彼は、何故死ぬことを選んだのか、何を見て喜び、満ち足りた気持ちで逝くことが出来たのか、私にも、解らないんですよね。
本当に、今更なんですが、寧ろ、兄のテイルの話やテイルの子孫たちの話とかの方がよかったんじゃないかな、って思ったりもしました。
テイルとユソクは、実は、かなり書きやすかったですね。
テイルは、ずっと努力をしてきた人で、本当は凄く優しく、思いやりのある人で、別に権力とか、本当はどうでもいいけど、国を変えたい、って気持ちがあって、王様になりたいっていう思いがあって、黒髪だけど、王様になれるように、必死で、それこそ、死に物狂いで頑張ってきた。だからこそ、シヨルを許すことが、どうしても、出来なかったんですね。
ユソクは、そんな兄を一番近くで見てきたわけで、だからこそ、この人に王になってほしいって強く思っていたわけで、だからこそ、シヨルの存在は、彼にとっては、本当に煩わしかったんだと思います。
て、思いながら書いていました。
シヨルは、一見恵まれているようで、実は、その反対の境遇の子、ってイメージで書きました。
シヨルは、本当に、灰色の髪と瞳を持って生まれたから価値があって、それが無ければ、やはり、両親にとっては、なんの価値もない石ころ同然の存在。それを、シヨルは解っていて、だからこそ、自分が生まれてきたことは、果たしてよかったのか、そう、ずっと悩んで生きてきた。でも、彼は、生かされたんですね。そして、生かされ、放り投げられた彼のその後ですが、多分、最終話の最後を読めば解った方もいると思いますが、つまり、そういう事です。
彼は、彼で、悩み、苦しみ、時には、置いて逝ってしまった兄に憤り、恨んだりしながら、それでも、トヤに励まされながら生きて、彼なりの答えを見つけたのだと、本当は、それをオチにするつもりでいたのですが、少し、悩んで、結局ああいう形になりました。
これにて、アセナの涙は、本当に終わりとなります。
最後に、今まで、評価、応援、コメント等、本当に、涙が出るくらい、嬉しかったです。本当に、ありがとうございました。
アセナの涙 茉井葩 @hanamatui
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