やっぱり、恋愛(情欲)とは簡単には達成し得ないものなのかな、と思ってしまいました。それゆえにたくさんのフィクションが、人々によって作られ、読まれてきたのだと思います。でも、『温かな、甘い匂い』はそれらとは違う、現実めいた現実的な作品ならではの読後感が味わえる作品なのですよね。
読んでいて、「自分の学生の頃ってどんな感じだったかな?」とすごく懐かしい気分になりました。丁寧に描写されていて、特に「匂い」については強いこだわりを感じました!
高校男子の女性への憧れを質感豊かに表現している。タイトルにもあるように『匂い』立つ文章が非常に魅力的。束の間だが過ぎ去りし高校時代に戻り、どこかに置いてきた学生の頃の感情、性衝動、苦い思い出を追想できる。文章もすらすらと読みやすくおすすめの短編。
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