夢現。

現代ミステリー小説の傑作です。
まるで映画を見ているような情景描写と生き生きとした登場人物で躍動感のある物語でした。見せ方も巧みで、何人かの視点で物語を追うことが出来ます。
多くのキャラクターが登場しますが、どのキャラもしっかりと造形してあるのでドラマチックな展開になっていました。更に展開を面白く読ませたのは、物語の進行です。過去の出来事を思い返す順番。この部分がより緊迫した状況や人物の心境を読み手に伝え、夢中にさせます。

主人公は不登校の女子高校生。
彼女が何故不登校になったのか、謎を含みつつ進行します。昼間は家に引きこもり、深夜は少年の姿に変装し街を徘徊する生活スタイル。
次にクラスメイトの視点になり、不登校の主人公が周りから、どう見られているか分かります。
この辺りまで読み進めてしまえば、作者さまの明るい雰囲気と独特のミステリーな調子を掴むことが出来るでしょう。

ゾクっとする出来事や、クラスメイト達の温かく楽しい感じなどが混ざり合い、物語を楽しめます。ストーリーの強弱に惹かれアッという間に読み終えてしまう。10万字近くある文字数が嘘のように感じるはずです。

ところどころに小さなフラグが仕掛けてあり、徐々に回収していく様子は自然でとても読みやすかったです。ミステリーな作風なのにそう感じさせない流れは、登場人物の個性に魅了されているからです。

おすすめの作品です。是非、読んでみて下さい☆

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