時間跳躍物が好きな人はド嵌りだろう。三角関係をダシにした思考実験。

作品紹介文を読んだだけでは本作品の面白さを予測できないだろう。
好きな女性に告白しようが、しまいが、そんな事は二の次だ。主人公には一大事だが、読者の醍醐味は別の点にある。
タイムトラベルをテーマにすると、まず直面するのが、「自分の親を殺すと、自分の存在は消えるの?」との疑問。
この矛盾に関しては、上手く乗り切っている。ネタバレになるので、カラクリは言わない。
普通、その点だけでも及第点なんだが、その延長線上で、終盤に主人公が取った行動にビックリ。「これは遣られた!」と膝を打つ。
しかも、サプライズな展開は二段構えで、最終エピソードでは意外な結論で待ち伏せしている。
だからと言って、終盤から読むのは止めて下さい。本作品は「俺だったら別のアプローチをするがな」等とツッコミを入れつつ、最後には「参りました」と脱帽するプロセスこそが醍醐味なのです。

ただ、時間跳躍に興味の無い方には退屈かもしれない。

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