こんなお仕事小説はアリ? リライトされた文はリフォームされた家のよう。

清掃業者を舞台にしたハチャメチャお仕事小説。

美人だが変人の女子大生・むつみさんがアルバイト先に選んだお掃除会社は、閑古鳥が鳴く零細企業でした。
社長も社員もみんなヤル気なし。僕なら速攻でバックレる所ですが、心を殺して仕事を続けるむつみさんに感動を覚えます!(感動ポイントそこかよ)

むつみさん自身もサイコパス風味なキレッキレのお転婆だからこそ、斜陽の会社を引っ張っていくことが出来るのでしょう。
アルバイトでありながら、会社を立て直すべく大手企業を訪れ、「仕事を下さい」と無心する様子は涙なしには見られません!(泣きポイントそこかよ)

本作は一度下書きに戻され、大幅にリライトされた小説です。
それはまさに、清掃され生まれ変わったピカピカの一軒家。
無駄を省き、洗練し、的確な断捨離によって本来の綺麗さを取り戻す清掃業者のよう。

清掃業界の裏事情や社会風刺も、ちらちら垣間見えます。
お馬鹿なコメディタッチかと思いきや、確固たる取材と下調べがあるわけです。
そんなの当たり前だろ、と思ったアナタ。それが出来ていない作品の何と多いことか! 頭の中だけで書いた作文の、何と多いことか!
本作はこの点だけでも、すでに頭一つ抜きんでています。
ライトなタッチの、働く女性を描いたお仕事小説。肝心のお掃除シーンがやや少ないものの、こういうのって今ブームなんですよねぇ。面白いです。オススメ!

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