カクヨムを楽しもう
なろうは離れた場所から見ると巨大なコミックマーケットに見える。以前にそう考察した。
それならばカクヨムは、離れた場所からはどう見えるのか。
私には同人誌に見える。同人誌を置いている書店でも、同人誌のカタログでもない。カクヨムというサイト自体が数十万ページの一冊の巨大な同人誌。もしくは同人サークルに見える。
実際、同人活動でやっていることのほとんどは、カクヨムの中でもできる。お気に入りの作品の作者にコメントしたりして交流すること。自分の近況を自由に伝え合ったりすること。
うっかり一方通行のつぶやきで終わらないように、丁寧にメールで教えてくれる機能まである。
自主企画のページを使えば、自分の呼び掛けで好きなジャンルの小説を集めてミニ同人誌を作ることもできる。
自分の発案で、リレー小説やお題小説を書いてもらいたい。自分で集めた作品にあえて辛口の批評をして、反応を見てみたい。そんなワガママな欲求にも、カクヨムなら実にたやすくこたえてくれる。
ツールとしての機能だけではなく、サイトの主催者も努力している。
隠れた作品をピックアップするために、わざわざ多くの作品を読んで、感想をつけて紹介したりもしてくれる。これは地味だが、なかなかに手間のかかることだ。まず、サイト(このページでは比喩としてサークルという言葉を使う)を健全に維持する。利益はその先にある。そう考えなければ、できることではない。
『カクヨムは作者ばかり』の項目で、私は今のカクヨムが作者による感想ばかりになっているが、それは一概に悪いことではない。小説を書いている熱心で真摯な感想を言い合うのだから、それはそれで素晴らしいと書いた。
その根拠となっているのが、上記に記載した同人誌あるいは同人サークルとしてのカクヨムである。
過去の同人サークルの苦労や喜びを書いた素晴らしい作品が、現在カクヨムに公開されている。(奈月沙耶 著 『三十年前には自分の書いた小説を読んでもらいたかったらコピー本を作ってイベントに持っていったんだ』※現在非公開)昔の同人活動は、実に困難なものだった。まず、仲間を集めるところから始めなければならなかった。お金も時間も情熱も必要で、それが途絶えたらすぐにでも失われてしまうものだった。
そんな汗と夢がかろうじて支えていた貴重なものが、カクヨムなら、あっという間に手に入る。
わずかな時間しかない社会人も、人口の少ない地域に住んでいる人も。性別も年齢も関係なく、創作活動を支えあうことができる。
もちろん、それは自分との関わりかた次第だが。そして参加者の努力やエネルギーがなければ消えてしまうものなのだが。私にはそれが何物にもかえがたい魅力として目に映る。
もちろん商業サイトとして存在している以上、制限もある。
チャットとかで交流がどんどんできればいいのに、とか。オフ会なんかをどんどんやれるようにできたらいいとか。そんなことも夢想する。
楽しげな話だが、それをやるとサイト内にミニサイトや派閥ができる可能性が高い。都合のいいことばかり求めると、全てが台無しになる。それは残念ながら、もう一方の側から見た現実だ。
カクヨムがこれからどうなっていくのか。現状からの発展か、全く別の物になってしまうのか。
企業としての利益や思惑もからむ話なので、はっきりとはわからない。
しかし、今はカクヨムを楽しもう。
そして素晴らしい仲間たちと共に、創作を楽しもう。
ウェブ小説とカクヨムについて考えてみた 千の風 @rekisizuki33
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