戦後の横須賀でスパイを廃業した男たちがかつての仲間の秘密を追う。

探偵の「横山」が昔は二枚目で鳴らした便利屋をやっている友人「唐澤」を訪ねて彼の頼みを聞くうちに、自分たちの過去にまつわる秘密を解き明かすことになる、という物語です。

同じ作者さんの「諜報員明智湖太郎」の後日談です。
より楽しむために「明智湖太郎」の方を先に読むことをお勧めします。

物語の主な登場人物は戦時中の諜報機関「無番地」に所属していた諜報員たちですが、スパイの時に名乗っていた名前を捨てて別の名前で描かれています。
そのため、最初は馴染みのないキャラクターに思えますが、読み進めるにつれて、かつての天才スパイ集団の面々がどんな運命をたどっていったのか少しずつ見えてきます。

大きな出来事が終わってしまった後の寂寥感と、これから新しい何かが起きるような期待感を漂わせる独特な味わいがある物語です。

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