このサイトやラノベ、なろうを読んでる僕らは、ほとんどが実体験として戦争を知らない世代だ。
戦後すぐのころ、「戦争反対」「戦争は悲惨だ」「戦争はもうやめよう」といったメッセージの映画や小説が数多く作られたが、今日日自分で目的をもって探さないとそうそう目にしない。
そんな中、カクヨム(なろう系)でこの作品が読まれている。これはちょっとした奇跡かもしれない。
この作品を読んだ人は、現代の平和の尊さを、長い歴史の中で多くの犠牲によって築かれた意味を、目の当たりにする。
作品の中で書かれている戦争は、現実にあったことなのだ、と。
そして、トウモロコシを持つ少女の笑顔に涙する。
新しい令和という時代。
この夏は本作品を楽しむのにもってこいだ。
魅力的なキャラクターが光るお話です。
地球から転生した人。異世界を望んで新たな人生を歩もうとしても、運命を左右するのは最後は自分。
何をするのか。何がしたいのか。
謳歌するキャラもいれば、苦悩するキャラもいる。
そのキャラが何をするのか、いちいち応援したくなっちゃうんですよね。
この物語の主人公は、異世界の住人で、所謂したっぱです。
戦争での消耗品だった彼は、貴族たちの世界に憧れ、苦悩し、そして絶望する。
本当に小さなきっかけから、王女との冒険が、貴族との交流を始めます。
憧れだったはずの貴族様でしたが、いつの間にか失望していく様は、読んでいて辛いところがありました。
シリアスな中にもユーモアが。
地球から伝わったのは、何も技術だけじゃありませんでした。
下ネタもあり、ギャグもあり。ですが彼らは真剣で、そのギャップにいつも楽しませて貰いました。
人間はどこに行っても、いつの時代でも同じ間違いをしては、隣の芝は青く見えてしまう。
異世界に憧れる人。地球を天国だと思う人。貴族に憧れ、絶望する人。
たくさんのキャラたちが、それでも自分のいる世界の中で奮闘していく。
そのことが、この物語を面白くさせる魅力だと思います。
長編お疲れ様でした。
番外編も楽しみにしております。
ありがとうございました。
にぎた
かつて、一隻の巨大な漆黒の船の来訪、そこに乗船する者が持ち込んだ条約がきっかけとなり、侍たちの国であった日本の価値観は文字通り大きく変わったと聞きます。武器、文化、思想に至るまで、あらゆるものが異界からの影響を受けた時代。
この小説で舞台となっている世界もまた、黒船の如く現れた1人の存在によって様々な価値観が大きく激変した場所。ですが、こちらでもかつての日本同様、同胞たちが血で血を洗う日々が繰り広げられる様相になってしまいました。
ですが、そんな中でも懸命にもがき、新たな時代を生き抜こうとする人たちがいるのもまた事実。1つの奇妙な出会いをきっかけにした、時にシリアス、時に軽快に、彼らは奮闘し続けるのです。
捻ったアイデアが小気味良い、新たな側面で描かれた「異世界転生」ものの作品です。