ロックオン!

如月芳美

大好きよ

ああ、ドキドキして眠れない。

だって彼はプリンスだし、私みたいな平民とお話しすることだって本当はありえないんだもの。


神様は見ていてくださったんだわ。

私が寝ても覚めても彼の事ばかり考えていたこと。

この日がきっとやってくるって信じてたこと。


彼との出会いは唐突だった。

「すまないが、連れのフリをしてくれないか」

「え、どうして」

「頼む。追われているんだ」


それから二人であちこちデート。

私はずっとあなたに釘付け。

あなたはきょろきょろと落ち着かなかったけれど。


夕方になって私はお役御免。

「一日連れ回してすまなかった。どうやらもう追手は来ないようだ」

「楽しかったわ」

「君に報酬を払わないといけないね」

「お金なんかいらないわ、あなたが欲しい」

私のような平民の願いが聞き入れてもらえるとは思わなかったけど。

「僕でいいのかい?」

彼は優しく私を抱きしめてくれたの。

だから私も彼の背中に手をまわして。

そして短刀を突き立て、思いっきり抱きしめたの。

彼は驚いていたけど、どうしてかしらね。

追っていたのが私だって、本当に気づかなかったのかしら。


獲物を仕留めたときの高揚感って最高ね。

ああ、今日は眠れないわ。

大好きよ、私のターゲット。

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ロックオン! 如月芳美 @kisaragi_yoshimi

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