感情を抑えた文章が、より多くの真実を語っているように思う。

飼い主の勝手な都合による犬猫の遺棄や、その結果としての殺処分の話は良く耳にする。
悲惨な状況に心が痛む。

この種の話は、悲惨さを前面に出すものが多いのだが、本話はそれとは一線を画する。
悲惨であるのに、その先にほのかな希望が見えているように思える。
状況への批判に、血が通っているというべきだろうか。

悲惨な話はそれをそのままストレートに伝えるだけでは、読者の心には届きにくいように感じる。
作者はそれを良く理解しているように思う。

とても良い話だった。
抑制を効かせた言葉の1つ1つが、心に沁みた。

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