軽い感じの宇宙物かと思いきや。
まず25話くらいでいきなりひねりのきいたジャブを撃ったかと思うとその当たりから、怒濤の危機また危機(と珍妙な解決策)そして人工知能との掛け合い漫才とその終端。
何度かゲラゲラ笑いました。
構成力もさることながら、優れたリーダビリティは一級品です。
まあ、小惑星の軌道とか離脱時の初速、ホーマン軌道を描いて帰還するなら、その時点での地球上の位置とかちらちらと浮かぶ疑問も濁流のような筆力でするりとかわされます。
通信相手のキャラクターがまたいい。定型に堕さず、皆突き放したような言い方で主人公に檄を入れる所なんかは実に人間がよく書けている。
主人公も○ット・○イモンと言うよりオッサン系純日本人っぽくてこのミスマッチもいい味になっています。
絶対的な危機にありながらしれっと軽口を忘れないヒーローって私は大好きなんです。
宇宙、人工知能、惑星探査等々幅広いテーマのエッセンスも詰まっている。堂々のSF大作と言えるでしょう。
そこのレビューを読んでいるあなた、絶対に期待を裏切らない出来です。読もう!