第7話 ゴブリンの街

 一週間くらいだろうか。旅をしている。森や草原を突き進んでは、夜になると満天の星空の元に眠る。そんな旅を続けていた。どういうわけだろう、私の心に変化があったのは。少しだけ人間を許せる気がする。あの時の治療という恩は忘れられない。本当にありがたい。


 目の前に街が見えてきた。見つめると、緑色の二足歩行者が見える。どうやらゴブリンの街だ。コロシアムもあった。遠くからでもわかった。私はとりあえず、やれやれと言った感じで休むことにする。宿屋を探した。今晩の宿は見つかった。そして街の中のコロシアムへ足を運んでみた。試合、というよりは奴隷戦士が決闘している。人間と屈強そうな体格のバーサーカーだ。人間はどうやら貧弱そうだ。バーサーカーの斧がぶおんぶおんと音をたてる。人間は防戦一方だ。私は決闘場に飛び込んだ。なぜなら、人間が血まみれに成り果てているから。観客がブーイングを浴びせる。構うものか。私は死にかけの人間を守るようにしてバーサーカーと向き合った。


 私を助けてくれた人間の恩をここで返したい。私は剣を抜いた。バーサーカーが大声をあげている。さぁ、いざ、私と戦え。怒り狂うバーサーカーよ。

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