第9話 怒り
人間を助けてやれなかった。目の前に広がる赤い血の海を私は全神経を集中して見た。沸き上がるのは何か? 私の心に沸き上がるのは何か? 立ち上がって振り向く。見るもむざんな人間の死体。そしてバーサーカーを見る。相変わらず大声をあげている。ムカつくんだよ、お前って奴は。私の緑色の血が騒いだ。
それからの私はバーサーカーを血祭りにあげた。右手を切り落とすじゃ飽き足らず、左手、右足、左足を切り落としてやった。バーサーカーが身動きが取れなくなっている。観客はどよめいている。さて、お前が殺した人間はどんな奴だったか? きっと地獄でお前を待っているだろうよ。私はバーサーカーの頭部を胴体から切り離してやった。
それからのことは覚えていなかった。私は恐怖の眼差しを受けながら街を出た。助けてやれなかった。私の中で取った行動は正しかったのか? それを自分に問う。私はゴブリンでありながら、人間に助けてもらった身である。だから、私はこの剣を形見にくれたあの人も思う。私は悲しい生き物だな。
美女ゴブリンは振り向かない 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。美女ゴブリンは振り向かないの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます