第6話 差別と戦う

 私はベッドで寝ていたようだ。天井は石で出来ているようだ。首を右に向ける。石の壁、シンプルな部屋という印象だ。私は起き上がろうとする。体中が痛くて起き上がるのをやめた。ここはどこだろう、そして私がなぜ生きている? 確かにこの世界とさよならできたはず。


 気付けば、開いたドアからちょこんと可愛らしい目が二人、こちらを覗いていた。私は思わず笑みがこぼれる。あぁ、あの人間の男の子と女の子だ。二人はゆっくり私の寝ているベッドに近付いた。手に何か持っている。二人はまぶしい太陽のような笑顔を放っていた。


 そして小さな花を私に手渡してくれた。私はわずかに指を動かした。この二人は天使なのだろう。ここは天国なのかもしれない。この感情はなんなのだろうか。私はこの二人のために戦ったのか? 考えていると、人間の兵士が二人、入ってきた。その表情は穏やかだ。私はしばらく、この部屋で治療を受けた。


 それから外に出られるくらいに私は回復した。どうやら人間の城の一室に私は居たようだ。人間たちは何かを私に話しかけてくるが言葉がわからない。そして、私は静かに皆の前から森へ入っていく。振り返ると人間たちが手を振っている。何かを叫んでいた。まあ、いいさ。私の戦いは始まったばかりだ。いつか、あの人の待つ天国に行くその日まで、私は戦い続ける。私は一匹ゴブリン、魔王を殺したならず者さ。

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