ちょっと一服しませんか?

燕子花美蘭の希望した異世界ツアーは、どれも死の危険が高いものばかりだった。
生まれてこのかた、不幸続きの彼女は、死を決意していたのである。
願わくば、地球ではない場所で、人生を終えたい……。
だが、彼女のグルメツアーの添乗員になったホークは一風変わった……いや三風ほど変わった人物だったのだ。
彼女の人生を変えるグルメツアーが今始まる!
私事ではあるが、今回の『日帰りファンタジーコンテスト』で、わたしも芳賀概夢さまと同じく、添乗員をモチーフに小説を書いた。
ずっと興味を持っていたのであるが、今夜ようやく時間を作って拝読できた。
結論……すばらしい! もっと早く読めばよかった!
オードリー・ヘプバーン主演の映画『ティファニーで朝食を』をもじったタイトルだが、映画の内容とはあまり関係ない。
あくまで、主眼はグルメツアーである。
文章は丁寧で、食事の描写がすばらしい……のであるが、よだれが止まらずに読むのに苦労した。これから読もうというかたは、空腹時に読むのは止しておいた方が賢明かもしれない。
キャラクターのネーミングもしゃれが効いている。
ツアーコンダクターの名前はホーク。このHAWKという単語が持つ意味は作品内で暗示されているが、それだけではない。主人公の名字、燕子花(カキツバタ)の花言葉は『幸せはかならず来る』。彼女にぴったりだ。きっと芳賀概夢さまの意図したものだろう。
じつに素敵なツアーを体験できた。
彼女に幸せの花が咲くことを祈りつつ、レビューを終えたい。

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